元へ戻って相対論

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宇宙

電磁気力にしてもそうだけど

科学者っていうちょっと変わった人種は

日々仮説を立てては検証して

今のところの真実ってものを

探し出していくという

気の遠くなるような作業を

延々としているんだよね。

ぼくみたいに気楽に

聞きかじりの知識で

なんとなくわかったような

気になっている人間からしたら

とてもじゃないけど

足元にも近づけない人たちだよ。

もっともぼくは一介の飲み屋のおやじ

わくわくとしてかれらのはなしを

聞いているだけで楽しいんだから

許してもらうことにしよう。

だからこれから書くことは

あくまでも一説でしかないことを

さもわかっているみたいに書くけど

許してね。

書いたかもしれないけど

ぼくは関西の方面の人間。

関西弁の特徴である

散々しゃべっておいて

最後に「知らんけど」を付ける文化圏。

適度に聞き流してもらえることを

期待しながらまだ相対論の続きを

書いてみようと思うんだ。

なんといっても相対論のはなしを書いているんだ。

行き着く先は『宇宙』

これって当然の成り行きだよね。

(あくまでもぼくにとってはだけど)

でも宇宙と一言で言っても相手が大きすぎる。

だけど考えてみると

宇宙なんて壮大なことを考えるから

いけないのかもしれない。

ぼくたちの生きているこの世の中

それだって宇宙の一部には

違いないってことだよね。

すぐ隣にある自然も

日々繰り返される日常も

はるかかなたにある宇宙の深淵も

みな同じ宇宙ってことだもの

気楽に今わかっていることや

「そうじゃないかな?」って

言われていることを

だらだらと書いていってみるつもりなんだ。

あくまでも「知らんけど」

だけどね。

宇宙項

一つおさらいだけど

電気や磁気には必ず

引力と斥力がセットになっているよ。

エネルギーは安定を求めている

だから低いエネルギーになろうと

頑張っているわけだ。

ところが重力には

引力はあるけど斥力は無いらしいんだ。

これっておかしいと思わない?

光子がエネルギーを落ち着かせるために

一生懸命行ったり来たりして働いているのに

グラビトン(重力子)は

ひたすら一方向に力を入れているんだからね。

宇宙にはモノ(質量)があふれているよね。

だったらグラビトンさんが働けば働くだけ

どんどん宇宙は縮んでゆくってことに

ならないとおかしいと思うのは当然。

宇宙はどんどん加速収縮していく

ってなったら一般相対性理論の

根底が崩れていくことになっちゃうんだ。

もともと一般相対性理論ていうのは

二つの方程式を

(測地線の方程式・重力場の方程式)
解くことによって解を得るという

ぼくにはちんぷんかんぷんの

もろに算数の世界。

しかもこの二つの方程式

数学用語で言えば

『連立偏微分非線形方程式』ってものなんだそうだ。

それがどんなものかは知らないけど

初期条件の与え方ひとつで

結果が相当変わってしまうものらしいんだよ。

一般相対性理論を宇宙そのものに

適用しようとしたとき

宇宙というものの前提(初期条件だね)を

仮定でもいいから設定しておかないと

この『連立偏微分非線形方程式』の

計算式が立てられなくなっちゃうんだそうだ。

だからアインシュタインさんは

宇宙は「静的である」という仮定を

取り入れたんだね。

これが宇宙項って言われるものなんだ。

もともとこの考えは

アインシュタインさんの頭の中に

あったってことらしいんだ。

なんといっても幾何学で論理を展開していった人。

図形を書いている紙自体が

伸び縮みしたら困るじゃない。

膨張する宇宙

アインシュタインさんの

一般相対性理論の発表は

1915年から1916年にかけて。

ところがそれから15年ほど後に

天文学者のハッブルさんが

観測とそこから導かれる事象の説明として

ハッブルの法則を発表

この宇宙っていうものは膨張しているという

結論を導き出しちゃったんだよね。

ドップラー効果って聞いたことがあると思うけど

波の発生源と観測者との間で

相対速度がある場合

波の周波数が異なって観測されるってもの。

よく使われる例えで言えば

救急車のサイレンが

近づくときには高く

遠ざかるときには低く

聞こえるってやつだね。

救急車のサイレンは音波だけど

光も波だってことになっている。

だからハッブルさん

観測した宇宙の星々の

そのドップラー効果から

「すべての星が地球から離れていっている」

ってことを見つけたんだね。

このすべての星というのが問題。

もし地球が宇宙の中心だとすれば

まだわかるけど

これってあまりにも手前勝手じゃない。

だからハッブルさん

宇宙がどんどん膨れ上がっているという

結論を出したんだ。

言ってみれば「すべての星」がお互いに

離れていくシチュエーションを考えれば

風船なんかに点をいっぱい書いておいて

その風船を膨らませるって思えば

なるほどって思えるよね。

この宇宙が膨張しているという

説が認められて

アインシュタインさんは

すぐに『宇宙項』を

一般相対性理論から

取り除いたそうだよ。

復活する宇宙項

もともとこの宇宙項ってものは

重力が電磁気力なんかと違って

引力しか持たないとされているから

導入されたんだよね。

たしかに引力しか持たない重力が

たとえその力が弱かったとしても

宇宙に充満しているとなれば

この宇宙って言うのは

どんどん縮んでいっちゃう

っていうのは当然考え付く。

それも加速度的に。

だから重力の引力につりあった

斥力を考えるのは

とうぜんだったわけだ。

この仮想的な力は

物体の質量によらずに

物体間の距離とともに増加する斥力

だとアインシュタインさんは仮定したらしい。

宇宙項というより宇宙斥力といったほうが

わかりやすいかもしれないね。

この斥力と万有引力(重力)とがつりあって

静的宇宙モデル(静止した宇宙ってことかな)が

完成する仮定したんだね。

ところがハッブルさんが宇宙は膨張してるよ

って言いだしたものだから

宇宙斥力と万有引力の均衡という考えかたを

アインシュタインさんは

訂正したってことらしい。

なんといってもこの時代

宇宙の構造についてある程度でもわかっていたのは

太陽系から半径たかだか数千光年程度の

範囲の中だけだったわけだ。

今でこそわかってきているけど

アンドロメダ大星雲が

どれくらい地球から離れているのかもわかっていなくて

それが銀河系の中にあるのか

外にあるのかという議論が

されていた時代だもんね。

やっとこのあたりから

現代宇宙論がスタートしたと言っても

いいらしいんだ。

宇宙の研究は

この百年の間に

飛躍的に進んでいった。

1998年には

宇宙は単純に膨張しているんじゃなくて

加速膨張しているってことも

観測されちゃった。

単純膨張ならば

初期加速がいまだに続いているということも

考えられるよね。

一時期よく言われていた

重力は宇宙全体に引力(負の加速度)を

与えるはずだから

宇宙膨張はそのうち収縮に転ずるって

説もあったんだよな。

(今もあるかもしれないけど)

でも加速膨張となると

なんらかの斥力がこの宇宙には

あるってことになる。

現在じゃ宇宙の研究が

すごい勢いで進化しているって書いたよね。

観測機器の発達で

今では超新星の明るさから

過去のさまざまな時点における

宇宙の膨張率を調べることができるんだそうだ。

その膨張率に大きく関係していると

考えられているのが

正体不明『暗黒(ダーク)エネルギー』

ってものらしいんだけど

こうなると現実の科学なのか

SFの世界なのか

わからなくなるね。

『暗黒エネルギー』ってものが

どんなものかはほとんどわかっていないらしいんだけど

宇宙に存在するエネルギーの

7割はこの『暗黒エネルギー』ってものらしい。

ここで出てくるのが

アインシュタインさんの提唱した『宇宙項』。

じつは『暗黒エネルギー』こそが

アインシュタインさんが

宇宙が自身の重力によって

つぶれてしまうという未来を避けるために

重力に反発する仮想的な力として

導入した『宇宙項(宇宙斥力)』の

エネルギーじゃないのかって

説が出てきているらしいんだ。

じっさいのところ

『宇宙項』が正しいのか正しくないのかは抜きにして

宇宙が膨張し続けているのは

(今のところ)観測の結果

事実であるとされているんだね。

だとすると時間を遡ると

宇宙はもっと小さかったことになっちゃう。

それを極限まで突き詰めれば

宇宙は一点に収斂してしまうことに……

ならないかな?

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