原子

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原子って考え方は新しいものじゃない

原子って聞くと

最新の科学って気がしないかな。

でもね、人間の考え方なんて

もしかするとここ数千年変わっていないのかもしれない。

実験・観測の精度が上がってきたおかげで

裏付けとしての証拠(エビデンスなんて言葉が最近はやっているけど)が

出てきているだけで

根本的考え方は全然進歩していないのかもね。

原子(アトム)ってものを初めて唱えたって言われるのは

古代ギリシャのデモクリトスさん。

紀元前350年頃にはすでに原子説は出てたわけだ。

『アトム』っていうのは「分割できない」というギリシャ語

デモクリトスさんの考えは

この世の中ってのは無限に広がる空虚と

その中を自由に動き回る『アトム』からできているんだよって考え方。

もうひとり当時有名だった(デモクリトスさんの少しあとぐらいかな)

アリストテレスさんは世の中は連続的な物質で満たされているって

主張していたんだよね。

連続的な物質ってのが有名な『四元素』、火・土・水・風(空気)。

当時は圧倒的にアリストテレスさんの説に

軍配が上がっていたようだ。

そのアリストテレス説に待ったをかけたのが

18世紀ごろの実験科学の精密化。

この当時にすでに酸素や水素が発見されるようになっていたんだね。

その結果『四元素』ってものが否定されてしまった。

その代わりに出て来たのが

普通の方法じゃそれ以上小さくできない要素があり

それを元素って呼ぼうじゃないか

そして物ってのはこの元素の組み合わせによってできているんだよという

ラボワジェさんの説。

これって結局デモクリトスさんの考え方に

軍配が上がったってことなのかもしれないね。

定比例の法則, 倍数比例の法則

18世紀頃から実験科学というものが

表舞台に出て来た。

実験観測装置の進歩がなによりの原因だけど

世界中の科学者たちが

ありとあらゆるものを実験研究しだした。

科学実験の対象とされたものとして

天文学から生物学

物理学に力学、気象学なんておよそすべての分野のことが

研究されだしたってことだね。

その中でも化学に対する実験はめざましいものがあったんだ。

物質が化学反応する時

それに関与する物質の質量の割合は常に一定だという

『定比例の法則』もその中で発見された。

そして同じ成分からつくられる別種の化合物の場合

成分同士の質量の比率は単純な整数比になるという

『倍数比例の法則』ってのも発見された。

いつものことで専門家が書くと

わかりにくい文章になっているけど

いがいと単純なことなんだ。

たとえば『一酸化炭素』と『二酸化炭素』ってあるじゃない。

もともと字面でだいたいわかるけど

酸素(O)と炭素(C)の化合物

一酸化炭素はCOで二酸化炭素はCO

ここからは数字が出てくるから軽く読み飛ばしてくれていいけど

炭素12gを含んだ一酸化炭素の質量は28

炭素12gを含んだ二酸化炭素の質量は44

単純計算で一酸化炭素には16gの

二酸化炭素には32gの酸素が入っていることになるんだよ。

この酸素の比率は163212

ねっ、単純な整数比でしょ。

本当に科学者ってのはすごい。

地道に実験を積み重ねていろいろなものの比率を調べていって

これらの法則が正しいってことを導き出しちゃうんだから。

そしてもう一度科学者ってのはすごい

もしくはちょっと変。

ここからこれまでの原子論に

科学的根拠を付け加えた人が出てくるんだからね。

ドルトンの原子論

ドルトンさん。

どちらかというとこつこつ実験をしていくというより

あたまの中で発想を温めて

後付けで理論を構築していくタイプの科学者だって言われている。

ドルトンさんの理論をもとに『倍数比例の法則』が

実験で確かめられたともいわれたり

実験結果から理論が出て来たのだろうとか言われているけど

すごい人だったのは間違いないと思うよ。

気が付いていると思うけど

この『倍数比例の法則』が正しいってことは

物質ってものがアナログのように

連続した構成をされていないってことになるんだ。

もし連続構成されているのならば

すべての状態で単純な整数比になるなんてことは

あり得ないんだからね。

デジタルで構成された

それこそレゴブロックでつくられた作品みたいに

細かくしていくとどうしても分割できないような

ブロックの存在が無いと

単純な整数比ってものは出てこないでしょ。

ドルトンさんは原子論に5つの原則を提示している。

1:ある元素の原子は他の元素の原子とは異なる。

異なる元素の原子は相対原子質量によって互いに区別できる。

2:同じ元素の原子は同じ大きさ、質量、性質を持つ。

3:化合物は異なる原子が一定の割合で結合してできる。

4:化学反応は原子と原子の結合の仕方が変化するだけで

新たに原子が生成したり消滅することはない。

5:元素は原子と呼ばれる小さな粒子でできている。

ドルトンさんの原子説は必ずしもすべてにおいて

正鵠を得ているとは言えないみたいだけど

この原則ってのは今でも生き残っているんだよ。

これらの実験研究結果や

ドルトンさんみたいな科学者たちの活躍で

物質を構成する最も基本的な単位が

原子(アトム)だという考え方がこの時代から定着したってことだね。

分子

物質を小さく小さく分解していくと

最小単位の、それこそこれ以上小さくできないってものに

なるということはなんとなくわかるような気がするんだ。

もっともぼくたちは小さいころからそう教えられているから

考えられるだけで

そんな知識が無かったらその結論に

到達できるかどうかはわからないけど。

でも、これ以上小さくできないものにまで分解しちゃったら

もとの物質ってものの性質ってのは残っているんだろうか?

たとえば『水』(H2O)。

これって分解していけばHOになっちゃうじゃない。

じゃあHは水なの? ってわけない。

だから分解していってももとの物質の性質を

残している最小単位を『分子』

で、その分子はいくつかの原子が結合しているってところで

はなしを落ち着かせようとしたんだね。

それでもまだ当時の観測器の能力では

原子や分子を直接捉えることができなかったんだ。

だから20世紀になっても

原子・分子の考え方はあくまでも理論上のもので

分子や原子の研究には役に立つけど

じっさいの実験的証明はないって

懐疑の目を向ける科学者もいたんだよ。

もっとも今だってちゃんと見えているわけじゃない。

人間の目で1オングストロームくらいのものを見るなんて

もともと無理なはなしだもんね。

ただ、近年の研究

特に植物の花粉の水中での動きから分子の動きを推測した

ブラウンさんの『ブラウン運動』

その『ブラウン運動』理論的に説明したアインシュタインさん。

そして実験によってそれを確認したぺランさん。

かれらによって現在のところ

この分子・原子って言うものが

ほぼ確実に存在するというのが通説になったってことだね。

現在じゃ、電子顕微鏡の発達(たかがここ100年ほどの話しだけど)で

なんとか原子の揺らぎ程度は確認できるようになったらしいけど。

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