そして『多細胞生物』へ

メメント・モリ散歩の途中
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多細胞生物

――真核生物誕生からほぼ10億年も経った頃多細胞生物が誕生する。

多細胞生物。一個体の中にそれぞれの職能を担当するスペシャリストを持つ生物の登場。

個人個人がしていた仕事を何人かで分業して効率を上げるという例のやつだ。

とはいっても誕生した時点ではそれほど複雑なものではなかったが――

まだまだ続く地質学。

いや、進化学かな?

――己を維持するためには何が必要か? 特に外界と隔離して存在するための絶対条件は? 

そう、エネルギーの確保だ。

ではどうすればエネルギーを確保できるのか?

ひとつは己の中でのエネルギー効率を上げること、言い換えればいかに倹約するかってこと。

もうひとつは外部のエネルギーをいかにより多く略奪するか、そのふたつだろう。

金を稼ぐか、使わないようにするか、そのバランスの問題だ――

これはわかりやすい。

人類の起こした産業革命の

生物版ってことだ。

――多細胞生物のエネルギー効率は恐ろしく悪い。

ひとりで細々と生きていくのと何百人、何千人単位で生きていくのとどちらが金がかかるかは明らか。

ただ集団のなかの一部を他の生きるという作業から解放して略奪することだけに特化した部隊を作り上げれば話は変わってくる。

うまくいけば全員を個々が細々と生活していた状況より

数段上の生活様式にまで引き上げることの出来るだけのエネルギーを吸収することができるようになる――

そのとおり。

人類だとその取り分で問題が出て来るけど

一個体の中でなあらば取り分の問題は出てこないのかもしれない。

もっとも人間個人にしたって

髪の毛や爪に主張するだけの意志があるとしたら

文句も出るだろうが。

――多細胞生物たちはそうして誕生した。

彼らが欲したものは『口』だった。

まわりのものを食べつくせる口。

生命効率をあげるには一つの選択肢だっただろう。

初めの頃には口を持ったものはひたすら食べ続けるだけでよかったのだからな――

これも産業構造と似ている。

新製品を開発したものは

ひたすら高値で売り続ければいいのだから。

――そこに気候変動が起きる。一気に寒冷化へ向かう。

真核生物たちが気候変動に弱いと言った。

だが、多細胞生物たちはそれ以上に逆境には弱かった。

気候変動の只中にあって己を外界から維持するためには莫大なエネルギーが必要とされる。

エネルギー、すなわち食い物が――

不況が来たってことだな。

――片方で気候変動で絶滅していこうとする生命

生命維持の為に唯でさえ減少の一途を辿っている生命を食い尽くそうとする生物。

簡単に略奪できる食い物が減っていくのは必然のことさ――

ひょっとすれば進化の過程なんて

経済学で表せるのかもしれない。

気候変動っていうのは

バブルの崩壊みたいなものなのだろう。

 ――選択肢は一つ。今まで略奪を重ねていたもの同士の食合いしかないだろう。

多細胞生物たちは口に特化していた。

より大きな口をより力強い口を手に入れるものたちが溢れてくる。

片方では己が捕食されないための防御手段があれこれ模索される。

強力な口でも捕食し得ない丈夫な鎧

食べられそうになったときに逃げおおせるすばやい動きや防衛機能

いち早く対象を発見するための索敵機能。

攻に対して防、防に対して攻。あの手この手の試行錯誤。

この時期からだろうな本来の意味での弱肉強食、生存競争、自然淘汰がはじまったのは――

生物の進化

こんな単純な図式で

生物の進化がおこなわれてきたとは

思わない。

だけど、概略をたどっていけば

けっきょくものごとなんて

単純なものなのかもしれないね。

人類の進化の過程にしても

やはり『戦争』がもたらした影響っていうのは

大きいって思わないかな?

遥か太古の(人類史の中でだよ)

今から考えれば小競り合いみたいな戦争から

最近なら第二次世界大戦まで

各々の戦争の後の

文明の発展っていうのは

たしかにあるんだよね。

戦争が無くても

それなりの道具類の進化はおきたんだろうけど

そのスピードを速めるには

おおいに貢献したっていうのは

皮肉なもんだね。

そしてその戦争を引き起こす引き金は

どうやら気候変動や天災にあるみたいなんだ。

これってもしかしたら

人類の文明の進化史っていうのは

これまでの生物の進化史の

縮小版ってことじゃないかな。

第二次世界大戦

いちばん近い戦争

(今でもいろいろなところで紛争状態がつづいているから

いちばん近い戦争っていうと

怒る人が多いかもしれないけど

ぼくにとっての直近の戦争は

『第二次世界大戦』なんだ)

その時を考えてみよう。

スタートはヨーロッパ。

1935年~45年まで。

その前の『第一次世界大戦』で

ドイツが負けちゃった。

(別にドイツだけじゃないけどさ)

それが1918年頃。

そのおかげでドイツは賠償金を払うのに

四苦八苦。

1922年頃にはハイパーインフレ状態。

勝ったって言われるヨーロッパの

他の国々にしたって

戦争っていうのは

国力を疲弊させるもんね。

そうそう好景気ってわけにもいかなかった。

日本はというと

1923年に『関東大震災』っていうのを

向かえちゃっている。

『第一次世界大戦』では

一応勝ち組のほうにいたんだけど

けっして楽じゃなかった。

いちばん景気の良かったのは

勝ったほうに与していて

なおかつ自国になんの損害も受けなかった

アメリカかな。

だからアメリカは好景気

それこそ株価なんかもぐんぐん上昇。

でもその当時から経済なんて

一国だけで成立するもんじゃない。

そして富の格差がおきると

どこかではじけ飛ぶ。

世界中で景気が悪くて

アメリカだけ景気がいいとなると

当然世界中のお金がアメリカに流れ込んでくる。

債権に投信、一般庶民もそれに群がって

信用取引(レバレッジなんかだね)

をする人も続出。

債権が上がれば

なぜか不動産投資も増える。

で、ここで自然災害だ。

1926年にハリケーンが来る

なんと連続で二月に渡って。

で、不動産が大暴落。

当然株価も暴落しちゃったんだよね。

こうしてアメリカを震源地とした

世界恐慌が世界を襲うってわけだ。

全世界がお先真っ暗になっちゃったんだよね。

ちょっと怖いけど

不思議なことなんだけどね

金持ちどおしがおたがいをうらやむ度合いと

貧乏人どおしがおたがいをうらやむ度合いとでは

なぜか貧乏人どおしの嫉妬のほうが

強いんだよね。

嫉妬は憎しみを生んじゃう。

生物が過当な生存競争に突入するのも

自然環境が悪くなった時。

経済も人類にとっては

自然環境みたいなものじゃないだろうか。

ハリケーンがアメリカを襲ってから

3年後の1929年

世界恐慌が世界を襲う。

特にヨーロッパじゃ

第一次世界大戦でボロボロになってたところに

追い打ち。

ドイツなんか最悪。

日本にしても国内の復興が

遅れがち。

たしかにそれ以外の要因はあったけど

(たとえば石油資源の行方なんか)

ある種の法則があるんじゃないかな。

実体経済と資産経済の乖離

(資産経済だけが上がっちゃう)

格差の増大

(ただし下もそれなりに少し上がる)

自然災害

(気候変動もそうだろうけど

それこそ台風や地震なんかもそうだよね)

資産経済の崩壊

世界中の不景気

貧乏人どうしの憎しみあい。

このセットで戦争って

起こってるんじゃないかな。

昔の戦争まで詳しく調べていないけど

なぜか戦争前には

飢饉が続くと天候不順とか

大火事があるとかあったような気がするんだけど。

余談だよ。

本当にどうでもいいと思うんだけど

今、『コビット19』って流行っているじゃない。

世界だと現在のところ160万人くらい

人が死んでいるらしい。

株価ってすごいよね。

日本だと地方はわからないけど

都心部の不動産は上がっているらしいよ。

どうも外国の投資家も

日本の都心部の物件を漁っているとも聞くし。

でも実体経済は

あまりよくないよね。

予測だけどこれから徐々に

もっと悪くなっていくんじゃないかな。

そして、世界全体があまり良くないんじゃない?

世界中貧乏なんて……

なんか嫌な感じだよね。

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