エーテルへの疑問に対する解答
いつも書いているけど
物理学の基本は演繹法の要素が多いと思うんだ
数多くの実験・観測から導き出されるデータ
そこから仮説を立てる
まあ そこで終わらないのが『科学』と言われる所以だけど
その仮説に対する検証・反証が
しつこく繰り返されていく
反証が成立するまでは
(今のところ正しい)
仮説ってことだね
当時エーテルは仮定として
なかなかよくできていたってこと
なんといっても
真空とされる宇宙空間を
波である光が伝わるという出来事に対する
考えられる一番合理的な考えだったわけだ
だから 宇宙はエーテルで満ちている
これを仮説として認めよう となったってこと
ところがそうすると
光速を測るさまざまな実験で出た
矛盾(地球とエーテルとの相対速度)に対する解答を
用意しなくちゃならないってことになっちゃった
だから 幾つかの矛盾に対する解答が
用意されたみたいなんだ
その中で有力だったものが
2:地球がエーテルを引っ張って動いている
3:光はエーテルに対してではなく光源の速さに対して速度変化を起こす
4:物体はエーテルの中でその圧力により運動方向に対して長さが縮む
これらの4つだったみたいだね
解答への考察
エーテルを仮説とすると
出てくる光の速度に対しての矛盾に対する反証の内
(言い訳みたいなもんだね)
3つまでは割合早い段階で否定されちゃった
1の地球がエーテルに対して静止っていうのは
天動説に戻っちゃうじゃない
だから 割合早い段階で没
2の地球がエーテルを引っ張っている は
エーテルの絶対静止を無視しているよね
その上 季節によって
星の光が来る方向がずれるって現象(光行差)が
説明できなくなっちゃう
(当時すでに光行差は観測されていたんだ)
だから没
3の光源の速さに対して…… は
光が波であるって条件を否定してしまうので没
ここまではそれほど時間をかけずに
没になっちゃたってことだね
困ったのは4なんだ
「物体はエーテルの中でその圧力により
運動方向に対して長さが縮む」
科学者っていうのはいつも書くけど
目の前に命題を出されれば
なんとか回答を出そうとする人種
「圧力に対して長さが縮む」なんて言われたら
じゃあどれだけ縮むんだ? って考える人々
そこで フィッツジェラルドさんが
縮む比率の割合を計算しちゃった
その比率を
マックスウェルの電磁気学の第一人者
ローレンツさんが検証した結果
正しいとされちゃったんだね
だからこの計算式は
(物体の縮の比率を表した式だね)
フィッツジェラルド・ローレンツの変換式 って
名付けられちゃった
この変換式その後 紆余曲折はあるんだけど
この縮む割合を示した係数は
相対論でもよく出てくる
『ローレンツ因子』 って呼ばれるものなんだ
物質は エーテルに逆らって進むとき
ローレンツ因子で割った分縮むという考え方は
エーテルという概念の抱えている矛盾
観測によって得られた光の速度にたいする疑問を
うまく説明できるってことが
認められちゃったんだね
やはりエーテルっていうのは存在するんだ!
めでたし めでたしとはならないんだけど
理論上では
物質がエーテルに逆らって進むと
ローレンツ因子で割った分縮む ってことに問題は無いけど
物理学は観測を主に置く学問
この縮みを測定する方法が無いんだよね
物質が縮む
だけど それを測定するものさしも
同じ割合で縮むってことになっちゃうんだから
ということは 実際のところ
その縮みを検出することはできない って
訳の分からないことになっちゃうんだよ
特殊相対性理論の骨子
『ローレンツ因子』
これって特殊相対性理論の中には
頻繁に出てくるよね
表記としては『γ』
たまに『Γ』が使われることもあるけど
物質がエーテルに逆らって進むと縮んじゃうって考えかた
特殊相対性理論の時間と長さの短縮に
通じるものがあると思わないかな
どうやら このローレンツ因子というものが
特殊相対性理論の骨子になっていたみたいなんだ
ということは
『特殊相対性理論』はこの時点で
ほとんど完成していたといっても良いみたいなんだよ
アインシュタインさんは
複雑な理論を検討するよりも
実験・観測の結果を
素直に受け入れただけってことかもしれない
その中には
光は波の性質と粒の性質を持っている
なんてこともあったけど
特殊相対性理論の骨子としては
「光の速度はいかなる慣性系から測定しても同じである」
というところ
この 光の速度はどの慣性系から見ても一定だという
仮定が間違っているという実験・観測結果は
今のところ出ていないんだよね
それともう一つ
これが 特殊相対性原理 って言われるものだけど
「どんな慣性系でも物理現象は同じである」
何のことはない言ってみればこの二つだけなんだ
光速度はいかなる慣性系から測定しても同じである
(光速度不変の原理)
いかなる慣性系でも物理現象は同じである
(特殊相対性原理)
これだけで特殊相対性原理はわかるってことらしいよ
だから 特殊相対性理論を
振り返ってみようってことだけ考えたら
本当にこれだけのことで済みそうだね
だけどまた悪い癖が出そう
ローレンツ因子ってなんだろう? って
もちろんエーテルに対する疑問もあるけど
この辺りは『場』なんかとの関係性も必要になりそう
だから 今のところは
保留にしておこうと思うけど
だけど
ローレンツさんってぼくに理解できるのかな?