特殊相対性理論を考えてみよう Ⅰ

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実験してみないとね

光の速度はどんな慣性系から測っても同じである。

どんな慣性系でも物理現象は同じである。

しつこいけどもう一度書いておこう。

信じるとか信じないとかのはなしじゃないんだ

実験・観測の結果

(あくまでも今のところはだけど)

そういう結果が出てしまっているんだから

あきらめてもらうしかないんだよね。

そうなるとどういう結果が出てくるか

実験してみないと納得できないのが物理学者たち。

じっさいの実験装置を使って

実験するとなると

慣性系の速度差と

光の速度を精密に測定するためには

そうとう大がかりな実験になるから

あたまの中での実験ってことだけどね。

現在ではじっさいに実験結果が

出ているみたいだけど

1900年頃には

(アインシュタインさんが相対論を発表した頃だね)

精密な実験数値を出すことは

なかなか難しかったんだ。

条件として光が波か粒かってことは

いったん忘れよう。

光をSFに出てくるレーザー光線のような

イメージとしては粒子の束のように

物理法則にしたがうとする。

(実際に物理法則には従うんだけどさ)

登場人物は2人。

例によって駅にいるYさん。

地球がどれだけのスピードで動いているかを

こんかいは忘れて

このYさんが便宜上止まっている

(基準系って言うらしいよ)とする。

で、目の前を電車が走っていく

(速度は時速100㎞でも200㎞でもいいけど

速度を表すvで表示することにしよう)

その電車の中には

Xさんが乗っている。

出てくる頭文字が

Y 駅にいる人

X 電車に乗っている人

v 走っている電車の速度(vっていうのは速度(velocity)の頭文字)
c おなじみの光の速度

さて実験を始めてみようか。

思考実験

思考実験ってカッコいいよね。

もっとも世の中で使われる場合

単純に自分の主張を通すためだけの

似非思考実験って言葉が

結構使われているけど

物理学者たちがおこなう思考実験は

もっとシビアなんだよ。

まずこれはあまりにも有名だから

聞いたことのある人も多いと思うけど

Xさんが電車の天井に向けて

光を発射するってもの。

もちろん電車の天井には

鏡がついていて跳ね返ってくるって条件で。

Xさんで考えるね。

これは簡単

目の前で光が往復するだけ

目の前に一本の光の帯があるってことになるよね。

この時の天井まで光が走って戻ってくるまでの時間を

2(t)ってことにしておこう。

(片道の所要時間がtってことだね)

ではYさんはというと

駅から電車のなかでXさんが

光を天井に発射して

その光が電車の床に戻ってくるのが

見えるとしよう。

光は異常に速いから

一瞬のように思えるけど

じっさいは天井へ走って戻ってくる間に

すこしは時間がかかっちゃう。

電車はvって速度で走っているんだから

光が天井に当たって戻ってくるまでの時間を

2(t)とすると

その間にXさんはYさんから見ると

2(t’)×vの距離を動いたことになるよね。

Xさんにとって光が往復するのに

かかる時間は2(t)秒

Yさんにとって光が往復するのに

かかる時間が2(t)秒って書いたけど

XさんにとってもYさんにとっても

光が発射されたのは同時だし

天井に当たったのも床に戻ってくるのも

同じ時間なんだってことは気を付けていてね。

もしこれを光の代わりに

ボールを投げ上げたとしよう。

おなじように投げて天井に当たって

床に落ちるまで

XさんにとってもYさんにとっても

同時になるようにみえるよね。

なぜって電車の中で投げたボールは

ボールの速さ+電車の速さがボールに与える速度になるんだから

当然のことだって思ってしまう。

Xさんの見ているボールの速さより

Yさんの見ているボールの速さが

早いだけのことなんだ って

これまでは暗黙の了解が

おこなわれていただけなんだ。

もう一度書くけど

Xさんが見ている光は

電車の床から天井までの往復分の

距離を走っている。

Yさんの見ている光は

電車の床から天井までの距離を一辺

光が片道走る時間×電車の速度

(t×v)の距離をもう一辺とした

三角形の斜辺の長さ×2の

距離を走ることになるんだよ。

ボールの時のように

XさんとYさんとでは

光の速度が違うってことになれば

はなしはとても簡単なんだけど

光の速度はどの慣性系で測定しても

同じ(光速度不変の原理)だってことになっているんだから

どこかで数字を合わせなきゃ

ならないってことになるよね。

ここに出てくるのは

X・Y・v・cそしてtt’

XとYは人なんだから

このひとたちを変えるってわけにはいかない。

cも光速だから光速度不変の原理で

がんじがらめ。

vとなるとこれはYさんとXさんとの

相対速度なんだから

これを変えるとこの思考実験の

前提が崩れてしまう。

となると変えられる可能性のあるのは

t,t’ そう時間だけってことになってくるんだ。

ローレンツ因子

さて、書きたくは無いんだけど

ちょっとだけ数式を書いてみよう。

一見すると頭が痛くなるように思うけど

実は中学生レベルの数学らしいんだ。

その気になったら

自分で計算してみて。

別に読み飛ばしても

問題は無いけどね。

Xさんが見た光の動く距離と

Yさんが見た光の動く距離が

違っているのに

XさんにもYさんにも発射と着地が

同時におこるってことは

XさんとYさんとでは

時間の経過が違うんじゃない?

ってことで

Xさんの時間を(t)

Yさんの時間を(t’)としたんだよ。

その上でYさんから見た

光の走った距離を

有名なピタゴラスの定理で出してみよう。

ピタゴラスの定理は

斜辺=底辺2×高さ2

電車は平面を走っているから

高さに関しては相対速度は無いよね。

だから

(ct’)2=(ct)2+(vt’)2


光速は一定なんだから

(光速×Yさんから見た光が天井まで届くまでの時間)の二乗だから

(ct’)2

天井までの高さは

(光速×Xさんが見ている光が天井まで届く時間)の二乗だから

(ct)2

電車がその間に動いた距離は

(電車の速度v×Yさんが見た天井まで届く時間)の二乗だから

(vt’)2

さてこれを展開していくよ。

(もっともぶっ飛ばしても何にも問題は無いけど)

Yさんの時間(t)とXさんの時間(t)との関係は

 (ct’)2−(vt’)2=(ct)2

 t’2(c2−v2)=c2t2

 t’2=c2t2/c2−v2

t’2=t2/(1−v2/c2)

t’=t/1−v2/c2

この最後だけちょっと気にかけていたら

いいんじゃないかな。

1/1−v2/c2 って覚えてないかな

エーテルの証明の時に出ていた

ローレンツ因子なんだよね。

だからYさん(駅に座っている人)の時間は

Xさん(電車に乗っている人)の時間に

ローレンツ因子を掛けたものになるってこと。

光速がいかに早いと言っても

v2/c2っていうのは

少なくとも0よりは大きいんだ。

だからローレンツ因子の分母は

1より小さくなるんだから

因子全体では1よりも大きい値になっちゃうってことだね。

結論として書くと

すこし誤解を招くことになるかもしれないんだけど

基準系(駅に座っている人)から相対速度のある慣性系を見ると

動いている物体の時間は

基準系から見た時間に

ローレンツ因子をかけたものになる。

ってことになるんだけど

感覚としてついていけるかどうかは疑問だね。

目の前を高速で走っていく電車の人の時計は

ぼくの持っている時計より

遅れるって

どうなんだろう?

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