ラザフォードの原子模型

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α線の散乱

原子に含まれる電子の数がわかってきた。

そうなると次に知りたくなるのは

原子に含まれる電子以外の『なにか』の正体

そして原子っていうものは

どんな構造になっているのかってことだよね。

原子っていうのは悲しいながら

肉眼では見えない(当たり前の話だけど)。

前述の電子の数を調べた時みたいに

なにかを原子にぶつけて

その反応を観察すればいいじゃないかという

オーソドックスな答えにたどり着いたわけだ。

X線だとなんといっても電磁波の観測

アバウトなところもあるし

なにより電子の影響ばかりが測定されてしまう。

そこで登場するのがα線ってやつだったんだね。

α線って聞いたことがあるかもしれない。

ウラニウムやラジウムなんかから

出てくるα粒子の束ってことなんだけど

この中にはα、βやγ線なんてのもあるけど

発見された当時この粒子のことがわからなかったから

ただひっくるめてα線って名付けられたってこと。

現在ではα粒子はヘリウム原子が2個の電子を失った

ヘリウム・イオンってことになっている。

このα線は+に帯電していて(2個の電子を失っているもんね)

ものを通り抜ける力(透過力)が弱いって特徴があるんだよ。

このα線を原子にぶつける実験をしたのが

ラザフォードさん監修のもとに

ガイガーさん、マースデンさん。

かれらの実験結果として

1:入射したα粒子の大多数はそのまま直進して散乱を起こさない。

2:ごくまれなことだけど、たまに90°を越え

180°近くなるような大角度の散乱が起きる。

3:散乱の大きさ(散乱の起きる確率)

ターゲットの原子量が大きいほど大きい。

というデータの採集ができたわけだ。

さて、これはどういったことを

指しているんだろう。

原子模型

原子模型で初めに考えられたのは

J.J.トムソンのレーズン・パン模型」と言われるもの。

レーズンパンと言われる通り

原子の大きさ(1~数Å)のなにかの+に帯電した塊があって

その中に電子がちりばめられているんだよって。

これは電子が-に帯電しているのに

原子は中性だってことの説明にはなるし

原子を最小単位とする考え方にも合っている。

だけどそんな構造を原子がしているとなると

ガイガー・マースデンの実験(α線を原子にぶつけるってやつ)で得られた

α粒子の散乱の説明がつかなくなっちゃうんだよな。

もしレーズンパン模型が正しければ

一個の原子が起こせる散乱は

0.001度くらいらしいんだ。

ただ、ぶつける対象には原子が数多くあるから

多重散乱(散乱が繰り返していく)を考えれば

なんとなく90度以上の角度で散乱しそうなものだけど

そのためには散乱のしかたがそろうってことが絶対条件。

でも、α粒子の散乱はランダム散乱

きれいにそろうなんてことは

まず起こらないと考えていいらしい。

そこでラザフォードさんが

ガイガー・マースデンの実験結果と

レーズンパン模型の否定から

原子内の+の電荷を持つ『なにか』は

原子いっぱいに広がっているんじゃなくて

狭い範囲に固まっているんじゃないか

だからその『なにか』にα粒子がぶつかることによって

散乱がおきるんじゃないかって考えたわけだ。

α粒子は+に帯電

原子の中の『なにか』も+に帯電

そうなるとクーロンさんの『クーロンの法則』

電荷の+と+は反発して

-と-は引き付けあうという法則の中の

+と+の斥力が散乱の原因だってことだね。

その原子の中の『なにか』を

『原子核』と名付けて

この考えをベースに創り上げられた原子模型を

ラザフォードの『有核原子模型』って

言われるようになったんだ。

ラザフォードの原子模型

もちろんラザフォードさん

考えただけじゃ満足しなかった。

この『有核原子模型』の考えと

α粒子の散乱の実験を突き詰めて

ラザフォード散乱の公式というのを導き出して

その結果が実験データにぴったりと合うことを証明しちゃった。 

ラザフォードさんの考え方は

原子内の全てのプラス電荷が中心の1点 (原子核)に集中していて

入射したα粒子がこの一点のクーロンの反発力を受けて

はじきばされて散乱するってことだね。

そしてそのα粒子の散乱のしかた(角度でもいいかも)を

綿密に測定していったってこと。

そしてその結果

思わぬ副産物もあったわけだ。

散乱のしかたを測定すると

原子核の持つ電荷の値がわかったんだ。

原子核の電荷がわかるってことは

電子の正確な数がわかったってことなんだな。

もうひとつクーロン斥力(電荷同士の反発力)がおきる距離の測定から

大体の原子核の大きさまでわかってきた。

正確じゃないけど原子核の大きさは

原子の大きさのだいたい1/5000くらいだっていわれている。

この一連の実験の成果はまだあるよ。

実験を重ねていくうちに

散乱の中にあきらかにα粒子とは違う

なにかが見つけられることがあったんだよね。

どうやらこれは高速のα粒子が原子の原子核に衝突して

何かはわからないけれど高エネルギーの荷電粒子が

飛び出してきてるんじゃないかって考えられたわけ。

幾度と実験を繰り返すうちに

この正体不明の荷電粒子の正体がわかってきた。

どうやらこの粒子は水素イオン(陽イオンのほうだね)と同じ物であるらしいって。

水素原子は原子核と1個の電子からできているから

水素原子から電子が1個剥ぎ取られた水素の陽イオンは

水素の原子核だってことになるよね。

この水素みたいな構成をされている

(原子核のプラスの電荷と電子の個数が合致する)

原子の原子核は陽子と呼ばれることになり

陽子ってものが原子核の構成要素の一つだってことはわかったわけだ。

ただそれだけじゃ説明できない部分はあるんだけどね

その辺りはおいおい書いていくつもり。 

ラザフォードの原子模型って正しいの?

科学者たちはいつも書くけどすごいんだよ。

どれだけすごい発見があっても

つねに疑い続ける。

あまりお友達にはなれないタイプかもしれないね。

ラザフォードさんの有核原子模型ってのは

すごく単純に言えば

太陽の周りを地球が回っている

もしくは地球の周りを月が回っている

って感じの模型なんだ。

真ん中に原子核があってその周りを電子がグルグルしてるって

感じなんだよね。

その電子の回転範囲が原子の大きさってこと。

太陽と地球とか

地球と月との間にかかっている引っ張る力は

万有引力ってこと。

その力と回転している地球や月の遠心力がつりあって

安定した軌道が描かれているって考えられてるね。

同様に原子核と電子の間には

クーロン力(電荷の+と-が引っ張り合う力)があって

電子の回転する遠心力でつりあっているって

考えたくなるんだけど

引力とクーロン力とではちょっと違うんだよね。

わかりやすいところで

一個の電子が一個の陽子(原子核)の周りをまわっている

水素原子で考えてみようよ。

1:水素原子の大きさ(電子のまわっている半径)は

電子の質量が一定だから

そのスピードによって半径が決まってくるんだよね。

同じ太陽をまわる惑星でも火星や金星

木星や土星でその回転半径が違うのは

質量の大きさとスピードの違いだけど

原子の場合はひとえにスピード次第ってことになる。

だから理論上の水素原子の大きさは

どんな大きさにもなれるはずなんだ。

でも水素原子の大きさはいつも一定なんだよね。

考えられるとすれば電子の速度は

つねに一定だということになるんだけど

はたしてそんなことがあるんだろうか?

2:自由落下状態でない運動をするものは

徐々にエネルギーを失っていくというのは当然のこと。

永久機関が長年研究されてもできない理由の一つ。

電子が一定の速度で原子核の周りを周回しているとすれば

加速度を持って運動していることになるんだよね。

だとすれば徐々に電子はエネルギーを失っていって

時間とともにらせんを描きながら

原子核に落ちていって

ぺしゃんこになるはずなんだよな。

とうぜんラザフォードさんも気づいていたみたいだけど

解決を次の世代にまかしたってことみたいだね。

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