相対速度のある時空図の変換
時空図を単純に解釈するとX軸に三次元情報
Y軸に光が一秒間に進む距離を示すようにした図表だってことだね
時間を示すY軸の一目盛りが約30万km
単純に言えば
ぼくたちの周りにあるような相対速度なんて
眼中にないってことなんだ
だから 地球上でのニュートン力学は
『ガリレオ変換』でもそれほど困らなかったってこと
唯一困るとしたら 電気だとか電波を考えるときぐらいなんだね
それでも 力学の分野でも相対速度差のある
慣性系どうしの変換を考えるときには
やはり『ローレンツ変換』が必要
そういうことに今のところなっている
『ローレンツ変換』はローレンツさんが
マクスウェル方程式を不変にするために考え出した変換方法
ただ マクスウェル方程式から変換しようとすると
ものすごく複雑だったそうなんだ
それをアインシュタインさんが
光の速度はどの慣性系から観測しても同じ だという
前提を導入することで簡単に導き出しちゃったらしい
(ぼくにとっては簡単じゃないけど)
ぼくが K系という慣性系の原点にいるとしよう
K’系という慣性系の原点にも違う観測者がいるとするよ
K系の原点から放たれた光は
ぼくのいる慣性系(Kとしておこう)のt秒後には必ず
tcを半径とした球面上にある
当然だね
光の速度がどの慣性系からでも一定ってことは
違う慣性系(K’)の観測者もt’秒後にはt’cを半径にした
球面上に光があることを観測することになるはずなんだ
だから
K’系のx’2+y’2+z’2=(ct’)2と
K系のx2+y2+z2=(ct)2とを
変換する計算ができれば良いってことになる
計算部分は書かないけどそのことから
ローレンツ因子は導き出せるってことらしい
もっと単純にして時空図を二次元で描き出せば
球体の表面までの距離ではなくて原点を中心とした円
x2+y2=r2とx’2+y’2=r’2の変換を
考えてもいいんじゃないかな
もう一つ
ガリレオ変換は時空図で表すとスライド変換になる
スライドなんて言い方が正しいのかどうかは知らないけど
ガリレオ変換ではt=t’。
だから単純にK系とK’系との変換は
xとx’との座標変換で済むんだ
ローレンツ変換はどうかというと
時空図上では回転変換になる
tとt’ xとx’の
どちらも変換する必要があるんだからね
距離の不変量
ミンコフスキー時空図上に書き込まれる数値の中で
ローレンツ変換の影響を受けないものがあるんだろうか?
間違いなく影響の受けないものがひとつ
そう 光だね
ぼくがK系 あなたがK’系
どちらも時空図の原点にいるとするよ
K系 K’系は違う速度の慣性系だとしよう
(もしくは ぼくが止まっていて
あなただけが移動しているってことでもいい)
原点から照射された光はぼくにもあなたにも同じ速度で広がっていく
その光を他の第三者が見ていても同じ速度で広がっていく
(このイメージは ぼくには難しいんだけど)
だから 光の速度はローレンツ変換の影響を受けない
(特殊相対性理論の前提なんだから当たり前)
もう一つ考えてみよう
ローレンツ変換では時空図上では
スライド変換ではなく回転変換だって書いたと思うんだ
三次元空間図での回転変換はどうなるのか?
あくまでも観測者が原点にいるという条件付きだけど
原点を中心に回転するとして
回転変換されても変わらないものが一つある
単純なはなし回転軸からの半径だね
では 時空図だとどうなるのだろう
同じく観測者が原点にいて
原点を中心軸とした回転と考えた場合の
『不変量』と言われるものは算出されている
x2+y2+z2-w2=x’2+y’2+z’2-w’2ってもの
(wは光速×時間ctだよ)
以前 4次元物理量の距離のところで
ピタゴラスの定理にさんざん時間を使っていたんだけど
x2+y2+z2-w2は
(以前は不変量をSとしてS2=(ct)2-(x2+y2+z2)と書いていたね)
静止系(ぼくのいる系)の距離の表し方であって
変換に左右されないってところが抜けていたけど
とは言え この数式がなにを意味するのかについて
まだもう一つ理解できていないから結果だけを書いておこう
この数式の出し方はローレンツ変換式をすべて二乗して
見比べれば理解できるってことらしいんだ
もっともぼくの能力では簡単に説明するのは難しいけどね
固有時 Ⅰ
ひとまず 距離の不変量が算出出来たってことにしよう
ただ 三次元空間図表の回転だと
半径はx2+y2+z2で表すことができたけど
時空図上の距離ではなぜかwの項目にだけ(時間に光速を掛けたctだよ)
『-』の記号がついちゃっている
計算するとそうなるんだけどなぜそうなるのかという問いに
明確な説明ってないんじゃないのかな
ぼくの一番納得ができるのはホーキンスさんの
『虚数時間』という考え方だけど
正解かどうかはわからないね
この辺りのことは
だれか偉い先生に考えてもらおう
ひとまず距離の不変量が出来た
そうなると次に挑戦したいのは時間の不変量だね
相対性理論では
『絶対時間』『絶対空間』なんていう
宇宙すべてに共通する時間や空間は無いってことらしい
各慣性系にはそれぞれの固有の時間が流れている
(ということらしいよ)
それが ぼくらの感知しないほどの遠くの出来事ならいいけど
もし身近で それこそ光速に近い速度で動く慣性系が
あったとしたらどうだろう
その慣性系にいるものとぼくとでは
時間に対する概念がおそろしく違っちゃうことになる
なんとか時間にも基準というものを作りたくなるじゃない
そこで出てくるのが
x2+y2+z2-w2 という時空図上で距離の不変量
後の計算が楽にするためにw2-x2-y2-z2も同じ不変量になるから
書き換えておこう
空間図では球の半径を表す公式みたいなもんだね
これは ローレンツ変換をしても変化しない量
この半径をτという記号を使う人がいるから
ひとまず『τ』としておくよ
そうなると τ2= w2–x2-y2-z2 ってことになる
さて x・y・zは三次元空間の数値
時空図ではX軸にまとめて記載される項目
時間変化とともに移動する項目だね
その移動と共にK’系の原点にいる観測者が移動しているとしようよ
その観測者にとって
x’・y’・z’は動いていない(静止している)ことになっちゃう
静止系(ぼくのいるところK系だね)の原点にいる観測者からしたら
KとK’系とでは速度が違うわけだから
K’系の観測者は動いて見えるけど
τは不変量 だから τ2=w’2–x’2-y’2-z’2が成り立っちゃう
K’の観測者はx’・y’・z’の運動と共に移動しているわけだから
x’・y’・z’は0になるよね
そうなると
τ2=w’2 ⇒ τ=w’ が 成立することになっちゃうんだ
固有時 Ⅱ
今は 特殊相対性理論の話をしているんだから
KとかK’という慣性系は同速で直線運動をしているという前提だよ
(慣性系なんだから当たり前だけど)
もう一度書いておこう
τっていうのはある意味 二次元で言うなら光の半径みたいなもの
x・y・zそしてct方向の移動距離のことだね
ある点が x・y・z どの方向にでもいいから同速直線運動をしている限りは
観測者をその速度・方向に合わせればx・y・zの値は0になる
静止系の観測者から見れば動いているように見える点でも
それは 違う速度の慣性系では静止している点ってことだね
もちろん 静止系で動かない点は
静止系にいる観測者にとってx・y・zが0ってこと
だから τ2=w2 ⇒ τ=w
になるのは当然のはなし
wはct 光速×時間
τ=wの両辺をcで割ると τ/c=t
不変量っていうのはローレンツ変換をしても
その値が変わらない量ってことだね
τは不変量 光速も不変量
だからこの不変量割る不変量で算出されるt(t’)も
当然不変量になるはずなんだ
tとt’では値が違うんじゃないかっていう疑問は当然出てくるけど
これはあくまでも不変量のはなし
異なる慣性系の間ではそれぞれ固有の時間が流れているんだよってことを
改めて認めちゃおうよ ってことかな
個の慣性系それぞれの時間のことを『固有時』っていうらしい
『τ』は観測者の固有時(観測者自身の慣性系で測定される時間間隔)
『t』は座標時(静止系もしくはぼくのいる観測系での時間間隔)
ってこと
とにかく ひとまずは時間にも不変量
(ローレンツ変換をしても変わらない量)が
出来たってことなんだ
もっとも 時間を不変量で表すことができたからといって
全宇宙共通の時間が設定されたってわけじゃないよ
というより 違う速度で動く慣性系ではそれぞれの時間があるよって
あらためて宣言したってことなんだろうね