ローレンツ因子

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エーテルの存在証明

マイケルソンさんって

聞いたことあるかもしれない。

ノーベル賞の受賞者でもあるしね。

理論的に求められていた光の速度を

初めて実験結果として導き出した人なんだ。

だからそのマイケルソンさんが出した実験結果には

ある程度まで信頼性があるってことは

学者さんたちの間でも

認められていたってことだね。

そのマイケルソンさんとモーリーさんの二人が

エーテルの証明に乗り出した。

前に書いた違う方向に往復させた光の

速度を測定することによって

その速度差を計測しようとしたんだよね。

この2人間違いなく

エーテルは存在するって思っていたみたい。

だから実験によって

その存在を明らかにしたかったってことなんだ。

何度も実験は繰り返された。

場所や季節を変えてまで

実験を繰り返したんだよね。

でもね、波の方向によっての

違いを検出することができなかったんだ。

じつは現代でももっと大掛かりな

そしてもっと精密な装置を使って

実験は繰り返されているんだけど

今のところ違いは出てきてないようだね。

さて困った。

光は波(電磁波)であって

その波はエーテルを媒体として伝わる。

だから、進行方向に往復させた光と

進行方向に直交させて往復させた光とでは

その速度に差が出るはずってことに

『?』が投げつけられたわけだ。

言い訳

マイケルソンさんとモーリーさんの

精密な実験によっても

エーテルの中を走る地球上で測定した光の速さに

差が見つけることができなかった。

科学者っていうのは

信念は持っているけど

目の前に突き付けられた

事実(観測結果)に対しては

真摯に受け止める。

『なぜ』に対して

なんとか回答を与えようとするんだね。

『肯定』→『否定』→『肯定』→……

そうやって科学は進歩していくわけだ。

だからいつだって常にかれらは

疑い続けているんだよな。

「これが正しい」じゃなくて

「今のところこれが間違っているという事実は出ていない」って

ことなんだろうね。

速度差が観測されなかったっていう事実がある。

光は波だと考えられる。

その波がなにも無い宇宙空間を渡ってくる。

だとすると宇宙空間には波を伝える媒体があるはず。

その媒体は宇宙に対して絶対静止状態になけりゃおかしい。

さて、これらを全部クリアーする

論理的解釈ってのはどんなものだろう。

ってことで学者たちはいろいろ考えだしたってことだね。

いろいろな意見が出て来たみたいだけど

大まかに分ければ

次の4種類が大勢を占めたみたい。

1:「地球がエーテルに対して静止している」っていう考えかた。

2:「地球がエーテルを引っ張って動いている」

3:「ひかりはエーテルに対してではなく

光源の速さに対して速度変化を起こす」

4:「物体はエーテルの中で

その圧力により運動方向に対して長さが縮む」

ってね。

1は天動説に戻っちゃうでしょう。

だから割合早い段階で没。

2はエーテルの絶対静止を無視しているし

この時代でも観測されていた

季節によって星の光が来る方向が

ずれる(光行差)って現象が

説明できなくなるので没。

3は光が波であるって条件を

否定してしまうので没。

問題は4。

なんと縮む比率まで

計算されちゃったんだよね。

そして、これがマックスウェルの電磁気学に

矛盾しなかったんだ。

この縮む割合を計算したのは

フィッツジェラルドさん。

で、マックスウェルの電磁気学の専門家の

ローレンツさんがこの計算式を正しいとしたので

この物体の縮みを現した式は

フィッツジェラルド-ローレンツの変換式と名付けられた。

なぜか縮む割合を示した係数が

ローレンツ因子って呼ばれることになったんだ

(フィッツジェラルドさんはどこに行ったんだろう っていうのは

ふとぼくが感じた疑問だけど)。

見たら頭が痛くなるかもしれないけど

一応書いておくと

ローレンツ因子は

  1/1−v2/c2

(vは動いているものの相対速度、cはおなじみの光速)

だそうだ。

ローレンツ収縮

三段論法って覚えているかな?

はるか昔に哲学のアリストテレスあたりで

書いたと思うんだけど

正しい論理を繋げていくと

正しい結論が出るって方法論なんだ。

ただ正しい論理を繋げるってのが

とても難しいんだけどね。

数学のように純粋言語なら

まだなんとかなるかもしれないんだけど

一般言語を使うと伝言ゲームのように

とんでもない結論が出てきてしまったりするから

困ったもんなんだよ。

光が波だってことは

観測の結果正しそうだってことはわかった。

だから波が宇宙を伝わるためには

なにか媒体がいるはず。

それをエーテルと名付けようってことで

提唱されたエーテル論。

その証明のために行われた

別方向の光の速度差の実験で

予想外の結果が出てしまった。

その結果とそれまでの理論とを正しくつなぐためには

どうすればいいか?

そこで出て来たのが

フィッツジェラルド-ローレンツの変換式。

「物質はエーテルに逆らって進むとき

ローレンツ因子で割った分縮む」

と考えると光の速度差の実験の結果を

うまく説明できるってことになったわけだ。

だけど

「それを測定するものさしも

同じ割合で縮むので縮みを検出することはできない」

って訳の分からない条件付きになっちゃうんだよね。

ここで光は波だって説が

袋小路に入っちゃった。

たしかにエーテルとローレンツ変換式を使えば

理屈は通るんだけど

そのエーテルの測定が

どうしてもできないんだよね。

『「物理学」とは「人間が認識しうる自然現象を研究する学問」である』

っていうのが物理学基本原則だって書いたよね。

だからエーテルを考慮に入れれば理論上は成立するけど

測定のできないものを

どう処理したらいいのか

科学者たちは頭を悩ませたんだろうね。

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