慣性系と非慣性系

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慣性力

非慣性系ってなんだろうって思うのは

当然のことだね。

単純に言っちゃえば

加速・減速している系ってことなんだよな。

(当然三次元のはなしだから

前後だけじゃなくって左右上下の

加速減速も含まれるけど)

非慣性っていうのがややこしいから

非慣性系を加速系って言ったりするけど

加速系っていうのは

速度が変わったり

右や左に曲がって走る

電車みたいなものだって思ったらいいんじゃないかな。

だから非慣性系にある物体っていうのは

中に乗っている人間だったり

荷物だったりってことだね。

非慣性系にある物体っていうのは

外部から力を受けて

その速度を変化させるものってことになるんだ。

でもちょっと待ってね。

たとえば実際に電車に乗っているぼくにも

ぼくの持っている荷物にも

じっさいの力を受けているわけじゃないよね。

それなのに電車が駅に止まるときには

進行方向へ引っ張られるようになるし

荷物だって前へ行っちゃう。

これって慣性系と非慣性系(加速系?)では

物理法則が違うってことになっちゃうじゃない? って

疑問が出てこないかな。

だって本来なら何の力も働いていない状態なのに

前とか後とか右とか左とか

上とか下へ物理的力が働いているのと

同じような動きをしちゃうんだから。

非慣性系にある物体は

慣性系にある物体とは違って

物体そのものになにがしかの

力が働いているように見えてしまうんだよね。

そうなると

慣性系と非慣性系では

物理法則が違っているのか

なにかこれまで考慮されていない力を

導入するしかなくなっちゃうじゃない。

そこで出てくるのが

『慣性力』っていうものなんだ。

だから非慣性系っていうことは

外部から力(相対加速)が加わっている

慣性系だという考え方をすれば

その系にあるものに

『慣性力』という力が働く慣性系だと

考えるとつじつまが合うって

単純な発想が出てきちゃった。

そうすれば慣性系と非慣性系の間でも

物理法則はおなじだ ってことに

なるのは確かなんだけど……

『慣性力』と『加速系』

『系』っていうものを

もう一度考えたほうがいいかもしれない。

自分のいるところが世の中の中心だって

考えだと思っていいんじゃないかな。

地動説から天動説への逆行みたいだけど。

じぶんが駅にいれば

駅を含むこの地上すべてが

一つの系。

電車に乗っていれば

その電車すべてが

一つの系って感じで。

そのことを踏まえて

ひとつ例の思考実験ってものをしてみよう。

これまでもよく登場してもらった

XさんとYさんに

今回も登場してもらうよ。

そしてもうひとつ特別出演で

電車の中に忘れられた

ボールに出てきてもらうことにしよう。

(サッカーボールでも野球のボールでも

ピンポン玉でもなんでもいいけど)

Yさんはいつものように

駅のベンチに座って黄昏ている。

Xさんと取り残されたボールは

電車に乗ってどこかへ旅立つってことだろうね。

ただ今回いつもと違うのは

電車が出発したばっかりで

加速しているってところ。

この速度変化を起こしている系を

『加速系』って呼ぶってことは

さっき書いたよね。

電車の中のXさんで考えてみよう。

ボールが目の前を進行方向と逆のほうへ

転がっていく。

(最後には車掌室の扉に押し付けられることに

なるのかどうかはわからないけど)

Xさんから見れば

ボールが何かの力を受けて

転がっていったように見えるはずなんだ。

この何かの力を『慣性力』っていうんだね。

もっともXさん自身にも

何かの力が働いているってことは

感じられるから

不思議でも何でもないだろうけど。

Yさんから見てみよう。

YさんからしたらXさんもボールも

同じ慣性系にいたように見えていたはず。

ところが足場の電車が動き出し

ボールもXさんもその場にとどまろうとしたために

ボールは転がってしまい

Xさんは踏ん張っているってことになるよね。

言ってみれば作用と反作用ってこと。

Xさんとボールにとって

自分たちにかかっている力は

慣性力のはずなんだけど

外部のYさんからすれば

Xさんとボールに

外部からの力がかかっているんじゃなくて

電車だけが進んでいるように

見えるって思わない?

『慣性力』と『重力』

もうひとつ考えてみよう。

ちょっと話を宇宙空間まで広げたいから

電車からロケットに乗り換えることにするね。

今回はさっき忘れられていた

ボールくんに主役を張ってもらおう。

いまロケットが地上に立っている。

(発射する前ってことでもいいよ)

そこにボールくんが転がっているとしよう。

ボールは当然床に転がっているよね。

言い方を変えれば

下に押し付けられているって感じかな

なんといっても地球には重力があるんだから。

この状態を『重力系』って呼ぶそうだ。

今度は宇宙から帰ってきた

ロケットを考えてみよう。

高空から自由落下している

(自由落下っていうのは

物が他からの力を受けずに

重力の働きだけによって落下する現象だよ)

ロケットにボールくんも

一緒に乗っているとすると

ボールくんには力が一切かかっていないという

状態になっているはず。

イメージしてほしいんだけど

自由落下で落ちてくるロケットって

加速しているって思わない?

さっきの電車で言うところの

『加速系』だって。

そして地上にじっとしている

ロケットとその床で

おとなしく横たわっているボールくんは

慣性系にいるって思わないかな。

でもね、少し見方を変えると

おかしいことが出てくる。

ボールくんは床に重力で押し付けられている。

この状態って電車で

車掌室の扉に押し付けられていたのと

なにが違うんだろう?


電車とロケットって途中で乗り物を変えたけど

ボールくんにしてみれば

どちらにしても床や壁に押し付けられる

力が働いているってことなんじゃないのかな。

『加速系』と『重力系』

ボールくんにとって

地上にいるロケットも

加速している電車も

どちらも現象としては

同じになるんだ。

車掌室の扉とロケットの床って

下と横で方向が違うように思えるけど

なんといっても空間は三次元。

90度くらい方向が変わったからといって

問題は無い。

なんなら電車に空に向かって走ってもらえば

どちらもボールくんは下に押し付けられている

ってことになるでしょう。

だからボールくんにとっては

自分に加わっている力が

『慣性力』なのか『重力』なのか

わかるわけはないよね。

電車を空に向けて飛ばすのは

ちょっと無理があるから

宇宙を加速しながら飛んでいる

ロケットにボールくんが乗っていることにしよう。

(Xさんも同乗させてもいいけど)

加速しているロケットと

地球上に停止しているロケットでの

『慣性力』と『重力』の違いって

わかると思う?

このことを思考実験で

アインシュタインさんは導き出した。

宇宙空間を加速するロケットと

地上に静止するロケットという系にいるものには

そこに働いている力が

『慣性力』なのか『重力』なのかは区別がつかない。

では宇宙空間で加速していないロケットと

地表に向かって自由落下をしているロケットを

考えてみたらどうだろうか。

どちらもボールくんには

力がかかっていないように見えるけど

ロケット本体が慣性系にいて

ボールくんに力(慣性力)がかかっていないのか

ロケット本体は加速系にいるんだけど

ボールくんに掛かっている

慣性力と重力が相殺されて

ボールくんに力がかかっていないのか

区別ができないんじゃないだろうか。

この『加速系』と『重力系』が

区別できないことを『等価原理』って名付けたんだよね。

特殊相対性理論は

光の速度はどの慣性系から観測しても同じであるってことと

どの慣性系でも物理法則は同じであるっていう

ふたつの仮定から

導き出されたんだったよね。

そして今度は

『加速系』と『重力系』が

区別できないという『等価原理』と

いかなる運動をしている物体にとっても

物理法則は同じであるっていう

ふたつの仮定から

一般相対性原理を導き出そうとしたってことなんだ。

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