慣性質量と重力質量
慣性質量と重力質量が度重なる実験の結果
まったく同じ値を持っちゃった
推理小説なんかでもよく出てくるけど
偶然があまりにも多く重なるってことは必然じゃないか
そんな風にアインシュタインさんは考えたんだね
理屈はよくわからないけど
そこには人類がまだ見つけていない
なんらかの仕組みがあるってこと
質量のある物どうしが引き合うこれはわかるような気がするね
ビルの上で手を離すと
手に持っていたものは落ちていく
物と地球とが引っ張り合っているから
当然だ っていうのが万有引力
では 同じ形の物で
重さの違うものを落とすとどうなるのか?
ピサの斜塔の実験という
科学史の寓話みたいに語られるガリレオさんの実験みたいに
重さが違っても落ちる速度は変わらない
というのが現在のところの結論
厳密に言えば空気抵抗とか
地球と物体との相互引力の関係で
誤差は出るかもしれないけど
でもこれって 不思議だと思わないかな
もし 慣性質量と重力質量が別の値をとるものだとすれば
同時に落ちるという実験結果が出てくることが
おかしくなっちゃうんだから
地球と物との引き合う力は
物の質量の大小で変わってくるよね
重たいものの方が当然強く引っ張られるはずだもの
これが重力質量
でも 重たいものを動かすには
動かすのにより大きい力がいる
これが慣性質量
この二つが同じ値をとるから
重さの違う物体を同時に落とすと
同時に地面に着いちゃうってことなんだ
同じことがたとえばエレベータに乗せた
物についてもおこっちゃう
止まっているエレベータで
1kgの鉄と1kgの綿を秤に載せたら
どちらも目盛りは1kgwを指すよね
当たり前だけどこれが重力質量
このエレベータを上昇させると上昇加速の分だけ
秤の目盛りは上がっていく
これは慣性質量だね
もし慣性質量と重力質量の値が違うとすれば
鉄と綿の間で測りの指す目盛りは
違ってくるはずだもの
でも 今までのところ実験結果は
どちらも同じってことが出ているらしいよ
重力場の方程式
ニュートンさんの時代から
重力によって空間が歪む(?)と言う考え方は
あった って前に書いたと思うんだ
空間が歪むというより
質量のあるものどうしがお互いに影響しあって
それぞれの物体の運動に
影響を与えるってことだね
では どれぐらいその影響があるのか
それを数値化したものが重力場の方程式
二つの物体間の引力を
質量と距離の関数にしたってこと
宇宙には無数の星がある
そして何も無いような空間にも
質量のあるかもしれないものが(濃淡を描きながら)
存在しているのかもしれない
その上 物体の塊と言う質量のもたらす力と
物体の運動と言う力は同じかもしれない
だとすると ニュートンさんの算出した重力場の方程式という
質量と距離だけを考慮した関数で
宇宙の実体が解明できるのだろうか?
アインシュタインさんの
当初(特殊相対性理論からかな)の目的は
『相対性原理』の統一なんだと思うよ
どのような系でも物理法則は同じ
でも 他の場所から観測すると異なっているように見えちゃう
その違う系の間では違って見える物理法則を翻訳する
それが目的のような気がする
特殊相対性理論の時は
異なる系の間の観測値の違いは
ローレンツ変換で求められたよね
そしてローレンツ変換をしても
変わらない演算方法で物理法則を表すことによって
『特殊相対性原理』を成立させた
そう言ってもいいのかもしれない
特殊相対性理論は速度の異なる慣性系は
どの慣性系もそれぞれが主体 もしくは同等に平等である
そのことを主張した
そのすべての慣性系が平等ということを
全ての慣性系 全ての重力系 全ての加速系という
全宇宙のすべてにおいて物理法則は同じだよ という
そのことを『一般相対性原理』として導き出そうとしたんじゃないかな
アインシュタイン方程式
重力場の方程式は質量の持ったものどうしの間で
その力(質量)と距離の関係性からものの動きを計算する
その演算式なんだ
この式によって太陽系の中の惑星の動きなんかは
ほぼ正確に表せたんだから
やはりニュートンさんってすごいもんだよね
問題はアインシュタインさんが考えた等価原理
加速度によって重力と同じような力が物体に影響を及ぼす
ようは 運動している物体の進路が曲がる
まではよかったんだ
でもそこで光の進路も曲がるんじゃないか
そういう疑問が提議されたんだよね
光は質量を持つのか否か
これは今でも議論されているけど
ニュートンさんの時代は
光には質量は無い ってことだったんだよ
光が重力によって曲がる
この仮定が正しいのならば
光には質量が無いという仮定が間違っているのか
重力場の方程式の考え方が間違っているのか
どちらかが間違っていることになっちゃう
こういう議論は物理学ではよく起きることだけど
光が絡んでくるとおいそれと実験結果が出せないところが
困ったところなんだよね
そこに登場したのがアインシュタインさん
もっとも登場と言うより
この疑問自体の発端の人物なんだけど
アインシュタインさんの特徴として
結果として観測されたものは受け入れる
ものごとをひたすらシンプルに定義づける
そんなところがあるように思えるね
そして物理の現象をアナログ 幾何学で
捉えようとしているようにも思うんだ
質量がお互いに引っ張り合って重力が発生するという
重力質量だけの重力場の計算式だけじゃなくて
慣性質量も重力として組み込んだ重力場の方程式を
打ち立てようとしたんじゃないのかな
そしてその計算式の概念を落とし込むことの出来る幾何学として
登場したのがリーマン幾何学
そのリーマン幾何学で与えられた数値を
演算子として代数変換するための概念がテンソル
そんなところなんだろうね