コペンハーゲン解釈への疑問
コペンハーゲン解釈
特にボーアさんが提唱している
確率解釈に対しては
納得をしていない科学者たちが
けっこう多かったってことは
間違いが無いことみたいだね
たしかに それまで築きあげられてきた
『因果』ってものを
量子力学を突き詰めていけば
否定される可能性があるってことは
物理学(すべての自然科学でも)にとって
とても受け入れられないことだったんだと思うよ
物理学とは
「人間が認識しうる自然現象を
研究する学問」って
ことになっている
言い換えると
人の身の回りで起こる
不思議な出来事の
『因果関係』を
紐解く学問ってことだからね
この『因果』が否定されちゃうと
自然科学全体の
意義が失われちゃう可能性だって
あるってことなんだ
未知のものに対する
人類の挑戦に対して
警句好きのアインシュタインさんが
言っている話がおもしろいから
少し長くなるけど
書いてみるね
「人間というのは
宇宙の構造を把握することはできない
それは小さな子どもが
巨大な図書館に入ったようなもの
壁には床から天井まで
異なった言語で書かれた本でおおわれている
子どもはだれかがこれらの本を書いたことはわかる
しかしだれがどうやって書いたかまでは
わからない
それらが書かれた言語も理解できない
しかし子どもは本の並び方の中に
一定の秩序があることに気がつく
つまり神秘的な秩序だ
はっきりとわかるわけではないが
おぼろげながら疑うことはできる」
アインシュタインさんが
「波動関数に記述されていない未知の隠れた変数」に
こだわったのは
人類が理解できないものの存在を
否定したかったからじゃないかな
(隠れた変数説は今のところ
分が悪いみたいだけど)
思考実験 猫の生死
シュレティンガーさんが
提起した思考実験を書いてみよう
あくまでも思考実験であって
本当に猫をつかって
実験したんじゃないよ
良く知られている話だから
知っている人も多いとは思うけどね
まず実験装置として用意する物
*中の見えない密閉できる箱
(猫を閉じ込めるためだね)
*放射性物質
(シュレティンガーさんは
ラジウムを思い描いていたみたい)
*放射線の検出装置
(ラジウムが放射線を出したら
反応する観測機械)
*検出装置につながれた
リレー装置とハンマー
(検出装置が放射線を検出したら
ハンマーが動くようにするってこと)
*瓶に密閉された青酸カリ
(ハンマーが動くと
瓶が割れるようにしたってこと)
*生きている猫
(実験の主人公)
たかが猫が生きているのか
死んでいるのかの実験に
仰々しい装置を考案したもんだと思うけど
理屈は簡単
検出装置が放射線を検出したら
ハンマーが動いて
毒ガスが猫のいる箱の中に
充満するってこと
とうぜん青酸ガスが充満すれば
猫は死んじゃうよね
シュレティンガーさんは
時間を一時間と指定するんだ。
そして 時間指定がされれば
その間に検出装置が
放射線を検知する確率は
ラジウムの量によって
調整できるってところが
この思考実験のみそ
一時間以内に検出装置が
放射線を検出する確率を
50%にすることができるんだ
外からは中の様子は
見えないようになっている
さて 一時間が経った後
猫は死んでいるのか
生きているのか?
どうもこのたとえ話が
『シュレティンガーの猫』って
はなしらしいんだ
もし 本当にこんな実験をしたら
結果としてあるのは
猫は死んでいるか
ピンピンしているかの
どちらかしかないよね
思考実験
この実験と結果が
シュレティンガーさんが
コペンハーゲン解釈に
突き付けた思考実験ってこと
思考実験って言葉は
聞きなれないかもしれないけど
簡単に言えば
頭の中で想像するのみの実験
ってことだね
条件として科学の
基礎原理には反しないという
前提の基に
極力単純で理想的な状態を
導き出すってことなんだと思うよ
考えてみれば
数学を使って
現実世界を類推するのだって
思考実験なのかもかもしれないんだ
もっともこの思考実験
前提を間違えると
とんでもない結論が
出ちゃう場合もあるみたいだけど
古代からある
パラドックス問題には
あえて前提をあやふやにしているものも
あるみたいだから
思考実験の実例としては
ニュートンさんの
落ちるリンゴとか
ガリレオさんの
ピサの斜塔とかが有名じゃないかな
(どれも真偽のほどは
定かじゃないけど)
最近だったら
アインシュタインさんの
特殊相対性理論も
思考実験のたまものだろうね
アインシュタインさんと
ボーアさんの論争なんてのも
思考実験どうしの戦いだったみたいだし
現代の科学には欠かせないものって
捉え方でいいのかもしれないね