量子論以前の問題
光本体の研究ってことは
電磁波ってなに? という
研究ってことだね
じっさい 電磁波ってなんだろう?
本なんかに書いてあるのは
一定の間隔でうねっている
おなじみの図だけど
あれは『横波』の図を
便宜的に書いているんだと思うんだ
『縦波』も見る方向を変えると
うねっているおなじみの図
みたいに見えるらしいけどね
電磁波は横波で
音波は縦波だそうなんだ
でもちょっと待ってよ
波ってなんだろう?
本に書いてある図や
子供の頃に習ったことを
そのまま受け入れているけど
じっさいに見たことなんて
ぼくの記憶の中には無いんだ
たしかに海なんかで
波っていうのは見たし
音だって聞こえている
「波打つ」と言われれば
その状況を
思い浮かべることはできるけど
では 『波』ってなんだ?
って 聞かれたら
答えにくいんだよな
波だけじゃない
粒子にしたって
『砂粒』はイメージできるけどさ
頭の中にある粒子のイメージって
パチンコ玉の小さい球体ぐらいの
像しか浮かばないんだよ
もっと極端なことを言えば
『モノ』ってなんだ?
と言われて
ぼく自身もモノだし
目の前の机も椅子もモノだよね
山や川も海もモノだし
太陽だってモノでしょ
きっとぼくは
量子論や相対論なんて
手に余るものを書いているけど
それ以前にことばの意味が
まるでわかっていないようなんだ
そして人間は言葉ではわからなくても
認識としてイメージを
作り上げることは
できることになっているけど
そのイメージが
あまりにもお粗末なんだよね
だから脱線して
思いつく限り基礎の部分を
調べようと思うんだ
波から齧ってみよう
『波』
すごく当たり前な
でも なるほどと思える説明は
「1つの場所に起った変動が
次々に他の場所に伝わる現象」
っていうのが出て来たよ
池に石を投げこむと
水の表面に波紋が広がっていく
この状態を波っていう
って説明は
「そうだよね」としか言いようがない
じゃあなぜ『波』の説明の図が
あの波打つグラフになっちゃうのか?
これは完全にぼくの
思い違いだったみたいだね
池に石を放り込んだ時の
波紋を
上の方から見ていただけってこと
真横から見ると
たしかにでこぼこの
本に書かれている
図のような形に
見えるように思えるもんね
では なぜ波ってものが
作られるのだろう?
じつは調べてみても
あまり答えが出てこないんだ
海の波ができるのは
月の引力や風の力のため
なんていうのは出てくるんだけど
そこで終わっちゃうんだ
たしかに学術的な説明にも
ぶつかったんだよ
でも そこまで行くと
おそろしいほどの数式の山
とてもじゃないけど
ぼくの手におえそうな
もんじゃないんだ
だからここから書くことは
ぼくの想像に近い
かもしれないってことだけ
さきに断っておこう
池に石を投げこむ
(石でなくてもいいけど)
何かの力を媒体に加えると
その場所が変形する
石の場合だと池の水が
凹むってことだね
物体っていうのは
どうやら安定を好むらしいんだ
落ち着いている状態に
外部から力がかかって
本来の位置からずらされたり
変形させられると
元に戻ろうとする性質がある
ってことみたいだね
この戻ろうとする力を
『復元力』っていうらしい
石が池の水を凹ませる
すると水は慌てて
元に戻ろうとするってこと
でも慌てて戻ろうとするから
受けた力と
(石の投げこまれた力だね)
同じ力で戻ろうとしちゃう
だから元の安定状態を通り越して
逆の方向に行き過ぎちゃう
ってことみたい
行き過ぎちゃうと
また復元力で元に戻ろうと
するんだけど
今度もまた
逆のほうに行きすぎちまう
初めの力→復元力→復元力→……
そんな感じで
波になっちゃうんじゃないかな
進行波・定常波
石を投げこまれた池の水は
その波を
どんどん広げていくよね
こんな風に
一か所で起こった変形が
(変動でもいいかな)
次々と他の場所に伝わっていくものを
波とか波動って呼ぶそうだ
そしてその波を伝えるものを
『媒質』って呼ぶらしい
ここで問題になるのは
あくまでも波は
媒質の状態を伝えるだけで
けっして媒質自体が
移動している
ってことじゃないんだよね
池で言えば
水が石の衝撃を受けて
上下している状態が
どんどん伝わっているだけで
水が石が投げ込まれた場所から
岸に向かって
進んでいるってことじゃない
ってことなんだ
だから
池に落ち葉が浮いていたとしても
波があったからと言って
落ち葉は
上下にゆらゆらしているだけで
岸の方に向かっては
来ないらしいよ
落ち葉が岸の方で溜まるのは
風のせいだったり
波以外の力なんだって
方向を持ってどんどん
進んでいく波のことは
『進行波』というそうだ
ほとんどの波は
この進行波という状態をとるけど
なかには空間を伝わっていく
ということをしないで
それぞれの場所で
とどまったまま振動する
波っていうのもあるそうなんだ
この波を『定常波』とか
『定在波』とか呼んで
普通の進行波とは
区別するみたいだね
どうやらこの定常波には
特別な意味がありそうなんだけど
それだけで膨大な量の
書き込みが要りそうだから
ひとまずサラッと
流しておくことにしよう
定常波っていうのは
波長や周期
振幅・速さなんかが
まったく同じの波が
真正面からぶつかることによって
できる波ってことらしい
想像がつきにくいかもしれないけど
わかりやすいところで言えば
ギターの弦なんかがそうだね
ギターのネックのところと
ボトムのところが
固定されている弦に
衝撃を与えると
(指で鳴らすでもいいよ)
弦の中心からボトムとネックの方向に
波が走っていくよね
そして半周して元に戻ってくる
ねっ 同じ波が真正面から
ぶつかるでしょ
定常波は同じ波源から
出来上がることが
ほとんどらしいんだ
まったく同じ波どうしが
正面衝突して出来上がる
ってことは
ふたつのまったく同じ波が
あるってことになる
まったく同じの波が
自然に発生するっていうのは
なかなか考えにくいじゃない
だから 定常波は同じ波源から
出来上がるっていうのは
当たり前のように
思えるよね
でも 同じ位置で発生した波が
正面からぶつかるっていうのは
どういう状態なんだろう?
ひとつは反射だね
波には反射・屈折・回析・干渉という
性質があるのは
学校で習ったと思うんだ
その反射を使うってこと
波の進行方向に対して
垂直な反射板があれば
そこにぶつかった波は
もとの波と進行方向の
逆向きの反射波ができちゃう
もとの波と反射波が合成されると
定常波ができるってことだね
別に池の波みたいに
平面に走る波だけじゃないよ
3次元の円筒波でも
(一点から四方八方に進む波だね)
まわりを球面上の反射板で囲めば
定常波が出来ちゃうんだ
もうひとつが
『閉曲線』上での定常波
また 『閉曲線』なんて
わかりにくい言葉が出て来たけど
むずかしく考える必要はないんだ
さっき書いたギターの弦みたいに
両端が固定されている状態を
考えたらいいと思うよ
ギターの弦なら
両端が固定されているけど
円や楕円みたいに
両端が一致している
言い方を変えたら
どこが端かわからないような
連続した曲線を
閉曲線って言うんだけど
その一点で発生した波は
右回り・左回りみたいに
ぐるっと回って
ぶつかるってことなんだね
閉曲線は
二次元上のはなしだけど
これを三次元で考えても
同じことなんだそうだ
球面とかドーナツ状の物体の表面は
どこが始まりか終わりかという
境界が無いじゃない
こういった曲面に
(トーラスって言われるみたいだけど)
発生する波も
定常波になるんだそうだ