タキオンってなに?
タキオンって聞いたことが
あるかもしれないね
2011年に
国際共同実験チーム(OPERA)が
光速を超えるニュートリノを
発見したという
大ニュースが
飛び込んできた
一時新聞やなんかで騒いでいたから
覚えている人もいるんじゃないかな?
もっとも結果は
観測誤差だったみたいだけど
でも 相対論を調べていくと
どうしてもこのタキオンに
たどり着いちゃうんだよね
『光速を超えるもの?』
って書き出して
タキオンのことを
書こうとしていたんだけど
タキオンの概念に
虚数が出て来るんだとね
ぼくには虚数っていうものが
よくわかっていなかったから
(今でもわかったとは言えないけど)
「虚数ってなに?」ってことで
前回の話になっちゃったんだよ
だから 本来なら前回に
書くはずだったタキオンに
やっと挑戦できるってことなんだ
初めに 断っておかなくっちゃ
いけないんだけど
この『タキオン』
今のところ 現実に存在するという
証拠は何一つない
だから 空想上の粒子として
捉えられることが
ほとんどなんだ
これまでのホワイトホールや
ワームホールみたいに
理論上は ある可能性があるって
ところまでさえ行っていないんだから
わざわざ書くほどのことでも
ないのかもしれないんだけどね
だけどタキオン粒子があれば
そして人類がそれを
扱えるものだとすると
『超光速通信』や
『タイムマシン』の
取っ掛かりになる
可能性もあるんだから
夢はあるんだよ
残念ながら現在のところ
発見どころか
その手掛かりさえない状態だけど
その存在を見つけようとする
研究は行われてはいるんだ
科学者たちは
どれほどその可能性が薄くても
すこしでも可能性があるものに対しては
執念深い
じぶんの研究が間違っていたということでさえ
研究成果になるんだから
困ったもんだ
はじめにタキオンという言葉が
使われたのは
ファインバーグさん
(アメリカの物理学者だよ)の
「超光速粒子の可能性」
って論文の中
超光速粒子の仮説は
それ以前からもあったんだけど
あまり相手には
されていなかったみたいだね
このタキオン
特殊相対性理論に基づいて
仮説として登場したんだけど
じっさいのところ
特殊相対性理論の立場で言えば
矛盾が生じるという
やっかいなものになっちゃった
ところがこのタキオンを
場として組み込むと
一般相対性理論と
量子論との架け橋に
なりうるってことが
分かって来たんだよね
だから その存在がもう一度
脚光を浴びだした
ってところじゃないかな
特殊相対性理論からのタキオン
タキオンの性質の特筆すべき点は
なんといっても光速より
早い速度で進むってところ
これってもとより
相対論の大前提から
外れちゃっているよね
だけどタキオンは
特殊相対性理論に基づいて
仮定された って
どこかおかしい気がしないかな
どうやってこの矛盾を解決したのか
簡単に書いてみよう
(少しまた数式が出て来たり
こじ付けもあるけど悪しからず)
アインシュタインさんの
有名な質量に関する数式
E=mc2 を思い出してほしい
エネルギーは
質量×光速の二乗の値だよという
あまりにも有名な公式
これは正確に書くと
E=γ mc2という式の
質量が静止している時にだけ
成り立つ特殊解
仮に静止している状態の質量を
m0とするよ
(静止している質量っていうのは
相対速度差のない質量ってことだね)
γはローレンツ因子だから
E=γmc2っていうのは
E=(1/√1-v2/c2)×mc2ってことになる
今静止している状態(相対速度差のない状態)を
考えると
E=(1/√1-02/c2)×m0c2
だから静止質量のエネルギー式は
E=m0c2と書けるよね
これがE=mc2の正体
このmとm0の関係を見てみると
m=m0√1−v2/c2という式が出てくる
なんのことはない
静止している質量(物でいいよ)は
動き出すとγ倍に増えるように
見えちゃうってことになるよね
言い換えれば
物は速度が増せば増すほど
質量が大きくなっていくってこと
そしてその速度が光速に近づけば近づくほど
質量は無限大に
近づいてしまうし
万が一光速と同スピードになれば
質量無限大になっちゃうってことだ
質量無限大の物を加速させるためには
エネルギーも無限大の
大きさが必要とされる
だから物はけっして光速には
到達できない っていう
結論
ここまでは
相対論の理にかなっているよね
光速を超えるには?
さてここからは数字のマジック
もう一度ローレンツ因子を
思い出してもらおう
光速を超えるものってことは
γ=(1/√1-v2/c2)という式の
vがcより大きい
v>cってことになるよね
ということはルートの中が
マイナスの数値に
なるってことなんだ
学校で習ったことで
わからないけど
無理やり覚えさせられた数学
その中に虚数の定理として
二乗すればマイナスの値になる数字っていうのを
覚えているかな
二乗すればマイナスになるってことは
√の中がマイナスになるってことでしょ
となると光速を超えるものの
ローレンツ因子は
虚数になっちゃうってことになっちゃう
まあ因子は数式だから
どんな数式が出てきても
許されるのかも だけどね
さて 静止質量(m0)と
相対速度差を持った質量(m)との関係を
さっきm=m0√1−v2/c2としたんだよね
そうするとやっかいなことがおきちゃう
光速を超える相対速度差を持った
質量mは虚数になっちゃうんだよ
逆説的に言えば
虚数の質量を持った物体(粒子でもいいよ)は
光速を超えるというということも
出来ちゃう って
訳が分からなくならないかな
ただ もし物体が
虚数の質量を持つとすると
たしかに光速を超える速度は
出せるんだけど
こんどは 光速より遅い速度は
出せなくなっちゃうって
これまたおかしなことに
なっちゃうんだけど
だいぶ前に書いた
時空距離は
もう忘れちゃってると思うけど
ミンコフスキー時空座標
(X軸に空間、Y軸に時間×光速)で
ぼくたちが関われるのは
光の航路とX軸で囲われた
1/8の部分だけって
書いたんだ
もし 虚数質量を持っているものが
存在するとすれば
光の航路とY軸で囲われた
1/8の部分にしか
関われないってことに
なっちゃうんだよね
だから光速を超える物体の
最低速度は光速のぎりぎり近くで
最高速度は無限大
ってことになるみたいなんだ
前にも書いたけど
この光速を
超える物体の発見は
(今のところ)されていない
ただ 光速を超えるものを
議論する文献では
光速を超える粒子のことを
『タキオン』という呼称を付けて
呼んでいるってことなんだ
これらの論文の中では
当然ぼくたちの知っている
実数の存在の粒子にも
名前が付けられている
通常の粒子(実数の粒子だね)は
『タ―ジオン』
光速を走る粒子(光子のこと)は
『ルクシオン』
そして光速を超える粒子(虚数の粒子だよ)は
『タキオン』ってことらしいんだよ。
タキオンがなぜ議論されるのか?
書いてきたように
タキオンっていうものは
じっさいには検出されていないし
虚数の質量のモノ
ましてや ぼくたちの物理法則と
著しく(たぶんだけど)
違っているものが
これからも観測されるかどうかは
否定的な意見が多いのに
どうしてこれだけ
議論されているのか
不思議だと思うよね
一つの考え方としては
このタキオンがあれば
夢が膨らむっていうのはある
それこそ超光速通信や
タイムマシンもそう
なんといっても現在ではプラスの方向にしか
移動のできない時間を
マイナス方向への移動の可能性っていうのは
たまらないほどの
ロマンがあるよね
もう一つは
虚数の質量という
不可解な存在
虚数のところで書いたけど
虚数は実数とは
次元の違う存在
ただ 実数と90度の
変換角度を持っているという
ぼくたちにも理解可能な
別次元の存在って
ことだからなんじゃないかな
虚数を一回かけると90度
二回かけると180度
(これって実数のマイナス領域だよね)
三回かけると270度
四回かけると360度
(元通りってこと)
理解不能な別次元を
なんとか理解できるようにする
不思議なツールってことなんだ
もっともそうなるように
作られた数字なんだけど
もともとタキオンの発想は
特殊相対性理論から
つくられたものだったんだけど
タ―ジオンとタキオンが
干渉する現象があれば
特殊相対性理論の
すべての慣性系で
物理現象が同じになるという
前提が崩れちゃうし
もしタキオンが局所化可能な粒子なら
(局所化は説明が難しいからパス
ゲージ理論はぼくにはついていけないんだよ)
特殊相対性理論の
因果律を破っちゃうってことで
相対論のほうでは
あまり問題にされないんだよね
だけど
場の量子論の
(ゲージ理論もここに入ってくるけど
本当にぼくには無理なんだ。
可能な人はゲージ理論で
調べてみて)
枠組みではどうやら
使い道があるみたいで
研究が進められているって
ことらしいんだよね
ぼくにしてみれば
ロマンを求めて研究されている
って結論のほうが
うれしいんだけどな