S2=(ct)2−x2
x2+y2+z2 を毎回書くのは手間だから
三次元空間要素をx2で書くことにしよう。
S2=(ct)2-(x2+y2+z2)を
S2=(ct)2-x2ってことだね。
前項で書いた
ピタゴラス定理の二次元、三次元の流れから
S2=(ct)2+x2ってことにすると
他の慣性系から見た
ぼくと銃弾とスイカの関係は
原点を中心とした
半径Sの円周上のどこかで
発見されるってことになるんだよ。
(これは単純にS2=(ct)2+x2を
グラフにしただけのことなんだけどね)
そうするとグラフはX軸を
横切る(縦切る?)ことになっちゃう。
連続系のグラフなんだから
ある慣性系から見たときに
ぼく・銃弾・スイカの関係が
時間が逆転して(スイカが破裂してからぼくが銃を発射する)
観測される可能性が出てくるんだ。
これって困るでしょ。
だから『因果律』に反するってことで
却下になった って書いてあるんだよね。
ここで一つの『?』が出てくるんだけど
ひとまず先を続けよう。
(因果律っていうのは
原因があって結果が出るってやつだよ)
ではS2=(ct)2-x2をグラフに表すと
どうなるのか。
これは原点を中心とした円じゃなくて
4つの双曲線を描くことになるんだ。
双曲線ってなんだ? って言われるかもしれないよね。
グラフで書くとわかりやすいとは思うんだけど
かえって不変量『S』ってものが
わからなくなっていくようにも思えるんだ。
じっさいぼくは
この図表とにらめっこしながら
悪戦苦闘したんだから。
(初めてサラッと見たときには
すぐにわかったような気になったんだけどな)
双曲線っていうものの言葉の
定義だけでも書いておくと
「二つの定点からの距離の差が一定である点の軌跡」
ってことになる。
これって不変量ってことじゃないかな。
イメージが掴めなかったら
相対論か4元ピタゴラス定理で調べれば
グラフにはすぐにお目にかかれると思うから
調べてみてもらったらいいと思うけど
わかりやすい反面
かえってわからなくなるかもしれないけど。
イメージとして
横軸Xと縦軸W(ct)に
原点から45度の角度で線を引く
もう一本-45度の角度でも。
これが光が通っていく
道ってことになるんだ。
ぼくたちは4次元に住んでいると言いながら
過去に進むことはできないから(今のところは)
考えなくっちゃいけないのは右斜め方向
45度の光の道だけなんだけど
理論上は左斜め45度の道筋も
考えられるから
書いておくことにしよう。
ただの白紙の紙に
これまでは直角に交わった
2本の線があったところに
もう2本それを45度回転させた
線が引かれるわけだ。
白紙の上には4本の線が
そして紙が8つのパーツに
分割されたってことだね。
S2=(ct)2-x2をグラフで表すと
2本引かれた光の航跡に対して
4つの双曲線が描かれちゃうことになるんだ。
X軸の上下に光の航跡に
閉じ込められた双曲線
W軸の左右におなじく光の航跡に
閉じ込められた双曲線ってぐあいに。
このあたりはやっぱり図に書かなきゃ
わかりにくいね。
でも、図にかかれていると
なんとなくわかったような気になるんだけど
じっさいこうして言葉に起してみると
わかっていなかったのがよくわかる。
なんとなく図でごまかされているような
気がするのも確かなんだよ。
さてそうなると
上下の双曲線は
X軸を横切ることは無い。
左右の双曲線は
W軸を横切ることは無い。
だから因果律に抵触することが無くなる
って書いてあるんだけどね。
X軸は三次元空間を表していて
W軸は時間×光速を表すって定義しているわけだから
この原点から45度の角度で走る
新たに引いた直線(光の航跡)は
光の走る空間と時間を表す線ってことになるんだ。
この45度の直線をつくるために
ミンコフスキー時空座標っていうものは
作られたんじゃないのかな。
だからX軸を横切る(因果律に反する)
W軸の左右にある双曲線の領域に入るには
光速を超えた速度が必要とされるってことに
なるらしいよ。
因果律?
「だからこの宇宙空間は
事象が原因から結果へ進むという
因果律を守るために
光がグラフの45度の線を走り
いかなる相対速度を持つ座標系から見ても
一定速度でかつ最速である必要がある」
これはぼくが一番参考にさせてもらった
サイトに書かれていた言葉なんだけど
(著者の人にリンク先を貼ることの
許可がもらえたらすぐに貼るね)
他の文献やらサイトを見ても
S2=(ct)2-x2っていう
これまでのピタゴラス定理と
符号(+と–)が変わることの説明に
この因果律ってものがでてくるんだ。
光の速さがどの慣性系から見ても
同じであるっていう
『光速度不変』っていうのは
じっさいの観測から仮定されている原理なんだけど
そのおかげで
どの慣性系から見ても同じとなる
四次元の『不変量』ってものが
確定できるようになる。
めでたし めでたし
ってことらしい。
光の速さを超えるものが
ぼくたちのいる世界には無いから
W軸をはさんだ
右と左の双曲線との部分と
ぼくたちの世界とは無縁の世界。
だから因果律なんて
考えなくてもいいんだよってことらしいんだ。
このあたりの『?』も
しばらくお預けにしておいて
もうすこし進めてみよう。
不変距離
因果律ってところで
『?』が飛び回っているけど
いったん気づかないことにして
W軸の原点より上で
(X軸より上ってこと)
X軸の原点より右の
(W軸より右ってことだよ)
白紙に描かれた四つのパーツの
右上の部分だけを
ひとまず考えてみよう。
そこに原点0から45度の角度で走った線が
このパーツを半分に区切っている。
これが四次元空間を
光が走っていく航跡ってことになるわけだ。
そして光の航跡(45度で伸びていく斜めの線だね)に
触れないように双曲線が描かれる。
もっとも今は
右上の部分しか考えていないから
双曲線も半分の双曲線になるけどね。
ここでもまた『?』が一つ出てくるんだけど
それもいったん保留して
続けてみよう。
ぼくが立ち止まって(ベンチに座っていてもいいけど)
じっと動かないってことにする。
でも止まっていても
時間だけは過ぎていくから
ある時間(t0)後に座標上ではぼくは
点A’(ct0,0)の地点にいることになる。
(X軸上では0、W軸上ではct0ってこと)
そのぼくをぼくと相対速度を持って
動いている誰かから見たとしよう。
簡単な例で書くのなら
ぼくが駅のベンチに座っていて
誰かが電車からぼくを見ているってことにしてもいいよね。
その人から見れば
動いているのはぼくのほうだから
ある時間(t1)後にはぼくの座標は
点A(ct1,x1)に移動したように
見えるはずなんだよね。
t1とt0は同じ時間tでも
相対速度があるとその系にいる人にとっては
時間の長さが変わるから
t0とt1って書き分けているんだよ。
時空間距離Sを表すのには
S2=(ct)2−x2 ってことなんだから
電車に乗っている人から見たぼくは
原点0から点Aに動いているわけだから
S2=(ct1)2−x12 ってことになる。
でも、ぼくにしてみれば
W軸上にしか動いていない
(ベンチに座ったままだもんね)
X軸上の座標の変化は0なんだから
S2=(ct0)2 ってことになる。
そしてこのSっていうのは不変量
ってことになっているわけだ。
するとどうなるか?
電車に乗っている人から見たぼくは
ぼくが見ているぼくよりも
x12が引かれているだけに
(ct0)2>(ct1)2ってことになっちゃう。
ここへ来てなんとか
相対速度を持つ系の
時計が遅れるってことの意味が
はっきりするわけだ。
まとめちゃうと
動く物の時間は
空間要素分の距離を
不変距離から引かなくっちゃいけないから
その分時間要素の距離が
減っちゃうってことだね。
ある座標に対して静止している物体は
その座標にとって最も時間が早く進んで
ある座標に対して相対速度を持つ物体は
空間方向への距離、時間が遅れるってこと。
これってちょっと怖いよ。
ベンチに座っているぼくは
じつは時間方向に
光速で突っ走っているってことなんだもの。
もしぼくと速度差が光速の系が
あったとしたらどうだろう。
空間距離が時間方向の距離と
同じになるよね。
初めに書いた光の軌跡と同じ軸線上を
走るってことになっちゃう。
これも困るんだよな。
不変量Sの存在できる場所っていうのは双曲線上
双曲線はどんどん囲まれた領域に
近づくことはできるけど
けっしてくっつくことは無い。
だから光の軌跡上では不変量が
存在できないんだよな。
だから物体は光速では
移動できないってことになる。
だって不変量がなくなってしまうんだからね。
光ってものは特殊な存在だってことなんだよ。
空間方向への移動に
時空間距離のすべてをつぎ込んでしまうんだから。
だから、光がもし時計を持っていたとしたら
その時計はまったく進まないってことになるんだろうな。