ニーチェ

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哲学者か文学者か

マルクスさんを哲学者と言っていいのかどうか

迷ったっていっていたけど

ニーチェさんはもっと悩んじゃうな。

マルクスさんは思想家、もしくは革命家って位置づけなんだけど

ニーチェさんは文学者って位置づけなんだ。

もちろんぼくの中では、ってことだけどね。

文学者なんていったら

わかりにくいかもしれないな。

まわりから罵声を浴びるのをしょうちで言うなら

小説家ってイメージなんだよ。

『ツァラトゥストラはかく語りき』

カッコいい題名だけど和訳のおそろしさ

原題だと『ツァラトゥストラはこう言った』ぐらいなんだよな。

「かく語りき」なら哲学っぽいけど

「こう言った」、「こんな風にしゃべった」じゃ

らしくないようにみえるんだけど。

哲学書っていうより

記事とか小説って感じじゃないかな。

(偏見に満ちたぼくの感じ方ってことは忘れないで)

ぼくの感想はどうでもいいから

はなしを続けよう。

現在ではニーチェさん

実存主義の先駆者って位置づけがされている。

実存主義ってのは観念みたいに

けっして答えの出ない夢みたいな話じゃなくって

目の前(目の前じゃないけど自分自身も)の

現実ってものを中心にものごとを考えようよ

ってことだね。

いまある現実を素直に認めて

そのなかでのじぶんの存在とはなにか

そのなかでどうすればいいか

そのことを突き詰めて考えていく

そんなもののはず。

でも、ほんとうにニーチェさんが実存主義というか

現実をとことん見つめた結果出した結論が

書き示したものだったとしたら

ニーチェさんの実存っていうか

現実ってやつは悲惨なものだったんじゃないだろうか。

ニーチェさん

世の中には合理的な価値なんて見つかるわけがない。

なぜなら世の中ってものはもともと不合理なのだから。

今、人が求める価値なんてどんどん変わっていくものだし

人間なんてものは生きていくための価値を

次々と受け入れていくしかない

悲劇(喜劇とも言ってるけど)的な存在なのだ

って、いっているんだよ。

それでもその濁流のように流転していく世界を

肯定して楽しんでいける人間こそが

『超人』という理想像になれるってフォローはしているけど。

永劫回帰

ニーチェさんの現実が悲惨だったんじゃないか

なんて勝手に思ってしまうのは

ぼくの思い込みなのかもしれないけど

かれの作品を読んでみてほしい。

奥のほうからにじみ出てくる

絶望ってのか、あきらめってのが

襲ってくるように感じないかな。

じっさい現実のニーチェさん

幼いころに父と弟を亡くし

ド近眼(お父さんも近視でけつまづいて死んだんだそうだけど)

頭痛持ち

馬から落ちるは、大病は患うわの

良いとこ無し。

おまけにじぶんにも他人にもきびしい大真面目。

そのくせどうやら女性にはめっぽう弱かった。

(この女性にたいする部分はぼくの想像だけど)

55歳で肺炎っていう平凡な死に方だったけど

晩年はどうやら精神異常を来していたみたいなんだ。

だからって擁護するわけじゃないけど

(より悲惨な人だっているからね)

かれの人生が悲惨(もしくは自分が悲惨だと思っていた)

だったとしてもおかしくないとおもうよ。

それでも本質的には強靭な精神を

持っていたんじゃないかな。

世間で信じられている常識を否定して

世の中の悲惨・不条理からは逃れられない

キリスト教の教えみたいに彼岸の幸せなんてないんだ。

『永劫回帰』っていう言い方をしているけど

世界は何か目標に向かって動いているんじゃなくて

今と同じ世界を何度も繰り返しているだけなんだよ

っていう世界観を打ち立てた。

ニヒリズムってやつなんだろうね。

キリスト教に対する否定を発表するのもすごいけど

なんといってもニーチェさん、牧師の息子なんだよな。

強靭な精神を持っていたんじゃないかって思うのは

もうすこし精神が弱ければ

なにかすがるものを探し出しそうな気がするんだ。

ぼくみたいな弱虫なら逃げ道を探すと思うんだけど・・・

だからこそ最終的には

精神を病んじゃったのかもしれないけどね。

思想ベース

ニーチェさんが影響を受けた考え方は

ショーペンハウアーさん。

世界は『意志』だって考え方だね。

そして意志(世界でもいいけど)がひとの人生ってのを決めるんじゃなくって

ひとが意志の方向を決めるんだよ、って。

だから現実の世界で悩んで

悲惨にあえぎながらでも

自分自身の力で進んでいくしかないって

言い続けたんだと思う。

もうひとつ影響を受けていたのが

ソクラテスさんより前からあるギリシャ哲学。

古代のギリシャ哲学は『自然学(宇宙論)』って呼ばれるぐらい

自然とは何か、宇宙とはどうなっているのかってことを

考える対象にしていたそうだ。

今で言うなら哲学者じゃなくって自然科学者ってかんじかな。

どちらかといえば空虚な思索より

科学的な考察を重視してたってことらしい。

とくに数学に対する研究は

相当なものがあったみたいなんだ。

そして最後にインド系思想。

『ヴェーダ』『ウパニシャッド』『マヌ法典』『スッタニパータ』なんかの

バラモン教、ヒンドゥー教そして仏教に大きな影響を受けてたみたい。

特に『スッタニパータ』(上座部仏教の経典のひとつ)の中の

「犀の角のようにただ独り歩め」ってところには

相当感銘を受けたみたいだね。

これらの理系・文系混合発想に芸術・文化の才能がまじりあって

ニーチェさんの壮大な叙事詩・抒情詩ミックス文学ができあがった。

こう結論付けたら怒られるかもしれないな。

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