クーロン
ローレンツ因子とかローレンツ変換なんて
自身の名前の付いた功績が多いローレンツさん
ノーベル賞も受けているね
もっとも受賞は『ゼーマン効果』についてだけど
ゼーマン効果っていうのは
原子から放出される電磁波のスペクトルについて
らしいんだけど この辺りは飛ばしておくね
得意分野はファラデーさん・マクスウェルさんと続いてきた
電磁気学ってことになっている
では 『電磁気学』ってなんだろう?
というか 電磁気学と聞くと誰を思い浮かべるのだろう?
たぶん一番に思い浮かぶのがクーロンさんじゃないかな
(ぼくの偏見かもしれないけど)
「二つの荷電粒子間にはたらく力は距離の2乗に反比例し
両方のもつ電荷の積に比例する」
なんていうクーロンの法則で有名だし
原子を構成する原子核と電子を繋ぐ『力』として
『クーロン力』は現代では
あたりまえに受け入れられているもんね
でも クーロンさん自身は電気ってものを
実感としては掴んでいなかったんじゃないか
って説もあるんだ
当時 電気の研究は難しかったって前にも書いたと思うけど
電気は磁気の一種だと思われていたみたいなんだよ
電気ってものをちゃんと研究できだしたのは
やはり『ボルタ電池』の開発後
今のぼくたちには
電気の方が磁気よりも身近に
感じられるように思えるけど当時(1800年頃まで)は
磁気の方が主役だったんだね
このボルタ電池以降
電気の研究が急激に進んでいったんだ
そして電気より前に研究されていた
磁気と電気の相関関係が
クローズアップされたってことだね
だから
『電気学』から『電磁気学』に発展したんじゃなくて
『磁気学』から『電磁気学』が出発した ってことになると
やはり電磁気学の代表者として出てくるのは
クーロンさんじゃないかって思えるんだ
マクスウェル
ボルタ電池の誕生後
電磁気に対する研究は
急速に進むことになっちゃった
電気を含む電磁気学の代表者と言えば
マクスウェルさんだろうね
マクスウェルの方程式って聞いたことが無いかな?
簡単に書いちゃうと
ガウスさんの電場・磁場の発散の定理である ガウスの法則
ファラデーさんの電場の回転定理 ファラデーの法則
磁場の回転定理の アンペールの法則
これらの電場・磁場の相互作用を
数学的形式でまとめ上げたものが
マクスウェル方程式なんだ
ガウスさんが電場・磁場の関係を見つけたのが1835年
電場は電荷をから外向きに広がっていくという
電場の発散定理と
磁場は閉曲面に閉じ込められて発散しないという
磁場の発散定理の二つ
ファラデーの法則が1831年
磁場の変化が電場を発生させる電磁誘導の法則ってことだね
アンペールの法則は1820年
ファラデーさんの電磁誘導は主体が磁場だけど
逆に電流(電場)の変化による磁場の発生の法則ってことかな
これらの電場と磁場の相互関係を数学的記述にまとめ上げたのが
マクスウェルの方程式ってこと
ガウスさんもアンペールさんもファラデーさんも
実験の結果出てきた結果に対して
推論としての結論を出していただけ ってことなんだ
本来の物理学としては正しい姿勢なんだけど
現象の観測を理論付けすることが科学的姿勢
特にファラデーさんは
理論より実験の方に特化していた人だったみたい
だから幾何学的(抽象的?)に考察されていたらしいよ
これら法則を数学として確立したのが
マクスウェルさんなんだと思うんだ
マクスウェルさん
この電場と磁場の相関関係 と電場と磁場の発散の法則
これらは実験の結果導き出された結論なんだけど
そこから理論発展をさせて
電磁波ってものまで予想しちゃった
これって ちょっと異常なことだと思うよ
今のぼくたちは
電気の流れが電子の流れというように考えるけど
この当時(1862年頃)には原子ってものの存在は
確定されていなかったんだからね
電子が発見されたとされるのがトムソンさんによる1897年
原子核に至ってはラザフォードさんが見つけた
1911年のことだもの
その時期に電磁波を予想した っていうのはすごくないかな
その上 理論上の電磁波の速度まで計算しちゃったんだ
電磁波の速度と光速の一致
この辺りで 今では科学的な共通認識とされている
「光=電磁波」説が出て来たみたいだね
現在のところ
数多くの実験や観測結果から
光は電磁波の内の可視光部分 って
ことになっているけど
これもあくまで
今のところ正しいという仮説だと思うけど
電磁気学からの相対論
電磁気学は(古典電磁気学って呼ばれているけど)
マクスウェルさんでほとんど完成した と
いってもいいと思うんだ
ただ ニュートンさんの古典力学と同様に
地球上で 人間の観測(当時の)という条件の中での
理論発展なんだよね
世界(宇宙)全体から見れば
地球なんて本当に微々たる存在
科学者たちは地球上だけで通じる理論じゃなくて
この宇宙すべてで使える理論を探そうとしているんだよ
ニュートンさんやマクスウェルさんの理論は正しいとしたうえで
その理論をも包括する理論を探そうとしているんだね
(超理論とかメタ理論と呼んでもいいかな)
たとえば コイルに磁石を近づけると
電気が流れるって実験結果が出てるよね
これを コイル側から見ると
磁石が近づいてきたためにコイルの周りの磁場が
変化したってことになるじゃない
磁場が変化すれば
電場が生じるってことになっているね
(マクスウェルの方程式だよ)
今度は磁石側から見てみよう
コイルが近づいてきたとき磁石は動いていないよね
動かない磁石は磁場を変化させない
だから コイルの中の電子が勝手に磁場の中に入ってきて
運動方向と直角の方向へ移動した
(ローレンツ力ってやつだね)
ってことになるんだ
さて これはどう解釈すればいいんだろう?
磁場が変化したから電場が出来たのか
磁場は変化しなかったし電場も無かったのか
どの部分を主体とするかで
出来事の意味合いが変わっちゃうってことに
なっちゃうんだよね
もうひとつ 光の速度にも触れてみよう
電磁波(光)の速度は約30万km
たしかに 多くの実験の結果
その数字は正しいとされているよね
だけどその数字は地上の人間が 地上で
(現代は地球上だけじゃないところでも計測されているけど
それにしたって人類の手の届く範囲での計測なんだ)
測ったら30万kmだってこと
マクスウェルの方程式を解けば
電場と磁場は干渉しあって
電磁波を作るってことは計算できるんだ
そして その速度は
約30万kmだってことも
だけど
その速度は何に対してなのか?
地球以外の速度で動くモノの上で
観測する電磁波の速度はどうなるのか?
極端に言えば
光に向かってこちらが動いた場合
光の速度はどうなるのか?
そして 光速に近い速度で動いている
物体の中での光の速さはどうなるのか?
立場や観測地点によって
出てくるデータの解釈が違うんじゃないだろうか?
ではどのデータが正しいんだろう
ニュートン力学も
マクスウェルの電磁気学も
ぼくたち人類にとっては
間違いなく正しいとされているんだ
だけど 正しいとされている古典力学も古典電磁気学も
全世界(宇宙)のどこでも通用するもんなんだろうか?
どうやらこの辺りが相対論の
出発点だったのかもしれないね