遺伝ってなんだ?
理性そのものを観測することは
現状の観測装置では難しい
そこのところは諦めよう
だから 理性が周りに
与える痕跡を観測して
理性の正体を暴きだしてやろう
ってことで
科学は行動を調べだした訳だ
そうすると行動には
生得的なものと後天的なものが
あるらしいってところまで
わかってきたんだよね
ぼくとしては 生得的なものを
理性から切り離して本能と
(と 言っていいのかはわからないけど)
考えると
それ以外の部分が
理性(理性Bだよ)が関与している はず
って短絡的だけどね
生得的なものと後天的なものを
どうやって分けていくのか?
ここで 新しいキーワードが
出て来たんだ
生物の持つ生得的なものには
それを支える というか
影響を及ぼす神経や筋肉系という
種としての体構造が関係してくるんじゃないか
って 考えられるようになってきたんだよね
そして
それらを形作るのが
遺伝ってことみたいなんだよ
『氏と育ち』論争
心理学の世界で
結論が出ていなかった
(今でももめているかもしれないけど)
議論のひとつに
『氏 育ち』論争
っていうのがあるんだそうだ
わざわざ 名前を付けるまでもない
とは思うんだけど
知能や性格 それ以外でも
あらゆる行動や心の動きに影響を与えるのは
『環境』か? 『遺伝』か?
って論争だね
ぼくたちの世界なら
努力と才能がどちらが大事?
ってはなしが
議論されているって感じかな
他人よりものごとをうまく処理できないのは
能力が劣っているのか
頑張りが足りないのかってやつ
遺伝を科学的に研究するとなると
実験・観測が必要になるよね
では どうやって実験するのか?
そこで考え出されたのが
『双生児法』ってもの
一卵性双生児っていうのは
一つの卵から生まれた双子ってことだね
だから 完全に同じ遺伝情報を持っている
(はず)
一方 二卵性双生児は
異なる受精卵から生まれてくるじゃない
だから ふつうの兄弟と同じように
半分(ぐらい)の遺伝情報を
共有しているはずなんだ
同じ環境で
(家庭でもいいかな)
育った場合
二卵性双生児と一卵性双生児との
比較をしたとしようよ
もし 一卵性のほうが
お互いがより似ているとしたら
その似ている部分っていうのは
遺伝の影響じゃないかって推察できるはず
なんていう壮大な実験が
行われたってことだね
行動遺伝学
この実験
世界中で膨大なデータが
とられたそうだよ
結果 行動や心の動きに対する
遺伝の影響はだいたい
50%ぐらいっていう結果が出ちゃった
幾つかの項目だけ書いてみるね
知能
やはりこれに最も多くの
研究がされたみたいだけど
この 知能に遺伝子が与える影響は
60%ぐらい
という結果が出ている
頭がいいか 悪いかの
半分以上は
遺伝子で決まるってことだね
性格
要素が多くて
一概には言えないけど
性格に関与する遺伝子の影響としては
30~40%くらいだという
実験結果が出たそうだ
性格の一部だけど
自尊心だけを調査した
データもあるよ
これはだいたい
40%くらいという
性格全体に比べれば
少し高めかな って数値だね
すこし 無謀な試みとしては
芸術センスの
遺伝子関与実験もあるみたい
もともと 芸術センスなんて
数値化が難しいけど
音楽だとリズム感や絶対音階
なんていう測定可能な領域では
50%程度の影響がみられる
っていう研究結果が
出ているそうだ
結果として
知能や性格も含めて
あらゆる行動や心の働きに
遺伝子が関与している
というのが
今のところの結論みたいだね
ただ 平均50%の遺伝子影響ってことは
環境も同じぐらいの影響を与える
ってことになっちゃう
けっきょく 『氏 育ち』論争に
決着がついたとは言えないけど
遺伝を組み込んだ心理学 もしくは
心理学を組み込んだ遺伝学という
新しい研究テーマが
出来たってことだね
テーマ名は『行動遺伝学』
また寄り道しちゃうことになっちゃった